健康診断は、毎年受けていますか?

健康診断の血液検査で、「貧血ぎみ」と言われたことはないでしょうか。「いつも言われるけど、何も症状はないし・・・」ということで、放っておいてはいませんか?

貧血だと、いったい何が困るのでしょうか。

貧血の基準として使われるのが、ヘモグロビン、Hb、血色素量などと呼ばれています。ヘモグロビンとは、赤血球の中にあって酸素と結びつき、体の隅々まで酸素を運んでくれるものです。

私たちの身体の細胞一つ一つは、どんな働きをするにもエネルギーが必要で、そのエネルギーを生み出すには酸素が必要です。酸素なしでエネルギーを生み出せないわけではないのですが、とても効率が悪くなります。エネルギーをうまく生み出せないということは、疲れやすくなるということです。

効率よくエネルギーを生み出すのは、細胞内の小器官であるミトコンドリアの中で酸素を使った反応なのです。

その酸素を体の隅々まで運んでくれるヘモグロビンは、主に鉄を含む「ヘム」とタンパク質でできている「グロビン」からできています。このうち「ヘム」は酸素と結びつく力が強く、全身に酸素をいきわたらせる大切な役割を担っています。血液が赤いのもこのヘムが赤い色素を持っているからです。鉄が足りなくても、タンパク質が足りなくても、赤血球が十分に作られないことになります。

酸素が足りないと、体はもっと速く血液を回して酸素を得ようとしますので、心臓を速く動かそうとします。つまり、交感神経を興奮させて、運動をしているときと同じような状態にすることになります。そうすると、自律神経のバランスが崩れてしまいます。そして、さらに他のホルモンにも影響が出てきます。

鉄は赤血球以外にも様々な反応において必要になる栄養素です。どんな栄養素も同じですが、足りないとなると体は節約モードで動くようになり、ますます体が動きにくくなります。 鉄は必要ですが、鉄だけを摂り過ぎると亜鉛や銅の吸収が妨げられてしまいます。バラン スが大事です。食べ物に含まれる鉄には2種類あり、肉や魚に含まれるものを「ヘム鉄」、ひじきやほ うれん草、プルーンなどに含まれるものを「非ヘム鉄」といいます。ヘム鉄の方が圧倒的に吸収率がよいのです。鉄が不足すると次のような症状が出ます。

動悸、めまい、肩こり、頭痛 皮膚、爪、髪の毛、粘膜のトラブル あざ、歯茎の出血、抜け毛、氷を好んで食べる、注意力の低下、イライラ感、食欲不振、抑うつ感

実は、栄養療法を始める前、私にはこの「氷を好んで食べる」という症状がありました。自分でもなぜだかよく分かりませんでしたが、とにかく氷をガリガリやりたかったんです。今はまったくそんなことはありません。鉄が足りているんですね。特に女性は鉄不足に注意が必要です。毎月の生理で失われるほか、妊娠や出産でも大量の鉄が失われます。授乳によっても失われるわけなので、授乳期間が長くなってその間に生理が再開してしまうと、さらに鉄不足が進みます。成長期には成長に鉄がたくさん使われます。汗からも鉄は失われますので、激しい運動をする方も注意が必要です。

また、鉄の吸収を促進するものとしてビタミンCがあります。ビタミンCが不足しているために貧血になることも。逆に、鉄の吸収を妨げるものとして玄米に含まれるフィチン酸があります。健康に気を付けているつもりで熱心に玄米食を続けていると、鉄不足から貧血になることもあります。また、胃酸によって鉄の吸収が促進されるので、胃酸を抑える薬を長期間飲み続けると、鉄の吸収が不足してしまいます。

貧血には、鉄不足以外にも原因がある場合があります。鉄を吸収して運び、ヘモグロビンを合成する際には銅が必要。タンパク質やDNAを合成する際には亜鉛が必要。したがって、これらが不足することによって貧血を引き起こしてしまうこともあります。

クリニックでは、貧血の方にヘム鉄のサプリメントをお勧めするのですが、ヘム鉄だけのサプリメントを摂っていただいたときには改善が見られなかったのに、銅や亜鉛も一緒に入っているサプリメントに変えてから、どんどん改善が見られた方もいらっしゃいます。

個人的には貧血の方に鉄剤はお勧めしていません。体内に吸収された際に活性酸素が発生してしまうからです。それによって組織を傷つけます。鉄剤を飲むと胃の調子が悪くなる、というのがその一例ですが、他の部分でもこの現象は起こっていると考えられます。そのような反応の起こりにくいヘム鉄をお勧めしているわけです。

そのほか、葉酸、ビタミンB12などが不足すると、DNAの合成がうまくいかなくなり、赤血球が大きいタイプの貧血になります。これは、胃を切除した方やお酒をよく飲む方に見られます。お酒の飲み過ぎは、こんなところにも影響してくるんですね。