
ビタミンDというと、これまでは骨を丈夫にする働きがあると考えられてきました。
腸管からのカルシウム、マグネシウム、リンの吸収を調整したり、
血液中のカルシウム濃度を調整したり、骨の形成を円滑したりする
という働きが主なものだと考えられてきたのです。
ところが、近年、それ以外にも 様々な働きがあることが分かってきました。
①細胞分化誘導
正常な細胞への分化を誘導する、つまり、発癌を抑制するということです。
②免疫担当細胞の調整
リンパ球等の免疫担当細胞にもビタミンDの受容体があり、
ビタミンDが欠乏すると免疫のバランスが崩れてしまい、
異常な免疫反応が起こります。
花粉症がその最たるものですが、リウマチや多発性硬化症、
Ⅰ型糖尿病等の自己免疫疾患、アトピー性皮膚炎、
喘息等のアレルギー疾患の発症や増悪にも関与しています。
③血圧上昇ホルモン分泌の調整
血圧上昇の原因となる“レニン”という腎臓で作られるホルモンの分泌上昇を、
ビタミンDが抑制します。
今回お伝えしたいのは、そのひとつ、免疫担当細胞を調整する働きです。
ビタミンDをしっかり摂ることで、
花粉症などのアレルギー症状を
抑えることができることが分かっているのです。
ただし、ビタミンDは紫外線に当たらないと
活性型ビタミンD になるものが作られません。
現代では、日中に外で過ごす時間が少なくなっていますし、
美白がもてはやされる時代ですので、
日焼け止めや日焼け防止グッズがいろいろと使われています。
そうすると、紫外線を浴びる量が極端に減ってしまいます。
美白も大事ですが、過度に紫外線を避けることは
免疫力の面からはお勧めできません。
十分量のビタミンDを作るには、
夏は30分くらい日光に当たる必要があると言われています。
ところが冬は夏の日照量の1/4~1/5に減ってしまいますので、
日光に当たっても十分ではありません。
ビタミンDは何に含まれているでしょう?
・サケ、マグロ、サバなどの脂肪性の魚はビタミンDの最良の供給源。
・牛のレバー、チーズ、卵黄には少量のビタミンDが含まれている。
・キノコ類もビタミンDが含まれている(紫外線に当てることでビタミンDの含有量を増加させられる)。
【100gあたりのビタミンD含有量】
・白きくらげ(乾燥) 970μg
・きくらげ(乾燥) 435μg
・あんこうの肝 110μg
・しらす干し(半乾燥) 61μg
・いわし(丸干し) 50μg
・いくら 44μg
・紅鮭 33μg
ただし、食べ物で十分量を摂ろうと思うと大量に摂る必要があるので、
サプリメントなどで補充することも大事です。特に秋から冬にかけては、
紫外線量が減ってしまうので、サプリメントの助けを借りるのが賢明です。
では、どのくらいのビタミンDを摂る必要があるでしょうか。
1日当たりのビタミンD所要量は年齢によって異なります。
ビタミンDの1日の平均摂取推奨量 | |
ライフステージ | 摂取推奨量 |
生後12カ月 | 400 IU |
小児 1-13歳 | 600 IU |
10歳代 14-18歳 | 600 IU |
成人 19-70歳 | 600 IU |
成人 71歳以上 | 800 IU |
妊婦および授乳婦 | 600 IU |
成人の場合、1日1万IU(250μg)以下の摂取では、副作用の報告はありません。
日本の厚生労働省が発表しているビタミンDの推奨耐用摂取上限
(不確定要素が重なっても有害事象がなく安全であるとされる量)は、
15歳以下で1日2000IU(50μg)(0~2歳は1000IU(25μg))です。
ちなみに成人男性の場合、1日3000~5000IUのビタミンDが体内で消費されるそうです。
花粉症などの慢性鼻炎を患っている方に、
ビタミンDを2000~4000IU内服してもらうと、
30分~1時間で鼻づまりが改善します。
飲み始めの頃は、その効果はあまり持続しませんが、
2000IUずつ飲み続け、3ヶ月ほど経つと、
肝臓や脂肪に徐々に蓄えられて血中濃度が安定し、
それに伴って症状の波が消えていきます。
東洋医学的な養生にも気を付けながら、ビタミンDをしっかり摂取することで、
今年の花粉症を乗り切っていきましょう。