
連日、新型コロナウイルスのニュースが流れていますが、このブログでもこの話題をもう少し続けてみましょう。
新型コロナウイルスに感染して重症化した方は、最初は軽症でも、急激に悪化するのだそうです。そのメカニズムとして、サイトカインストームという現象が関与していると考えられています。
サイトカインとは、免疫細胞の活性化や機能抑制に重要な役割を担っている生理活性蛋白質です。サイトカインには、白血球が分泌し免疫系の調節に働くインターロイキン類、白血球の遊走を誘導するケモカイン類、ウイルスや細胞の増殖を抑制するインターフェロン類など、様々な種類があり、今も発見が続いています。サイトカインは免疫系のバランスが乱れてその制御がうまくいかなくなると、サイトカインの過剰な産生状態を引き起こし、ひどい場合には致死的な状態に陥ります。これがサイトカインストームです。サイトカインは本来の病原体から身を守る役割のほかに、様々な疾患に関与していることが明らかになってきています。
さて、このサイトカインストーム、免疫系のバランスが崩れて制御がうまくいかなくなるということなので、そこには当然炎症も起こってきます。そうすると、炎症を促進するものを作りにくくしておいた方が有利、ということになります。「あぶらの摂り方で花粉症が軽くなる?!」で説明したことが当てはまります。
ω‐6系脂肪酸からアラキドン酸を経由して炎症を促進する物質が作られるとき、糖質を多く摂ることでその反応がさらに促進されます。また、亜鉛、ビタミンB6、ビタミンCが足りないと、炎症を抑制する物質が十分に作られません。
もちろん、サイトカインストームが起こってからでは間に合いませんが、普段からω‐6系脂肪酸と糖質を控え、ビタミンやミネラルをしっかり摂ることで、過剰な炎症を起こしにくい体質を作ることができるのです。
糖質を摂り過ぎることによる害には、そのほかにもいろいろありますが、興味深いドキュメンタリー映画がありますので、ぜひ一度観ていただきたいと思います。
『あまくない砂糖の話』
この映画の冒頭では「オーストラリアの平均的な4人家族が一週間に消費する砂糖の量は6kg」という驚くべき事実が明かされます。ほとんどの食品に砂糖が使われていて、それらを足していくとそうなるということで、現代社会は砂糖と切り離せないのです。
1955年にアイゼンハワー大統領が心臓発作で倒れたことをきっかけに、心臓病に対する関心が高まり、心臓病の原因について2つの説が生まれました。
・アメリカのキーズ博士:脂肪が原因
・イギリスのユドキン博士:砂糖が原因
結局、1970年代の終わりにキーズ博士が勝利し、「悪者は脂肪」とされ、砂糖は無罪放免となりました。そして低脂肪ブームが始まり、食品業界も「健康食」として脂肪の削減に力を入れました。脂肪を減らすと、カロリーが不足し風味も劣るため、それをカバーするために重宝されたのが「砂糖」です。
なお、このキーズ博士は、「コレステロールが動脈硬化など病気の原因」という説を主張した人です。現在は、アメリカで食事におけるコレステロール摂取量の上限が撤廃され、日本動脈硬化学会は「食事内容で体内のコレステロール値は変化しない」としており、キーズ博士の説は否定されています。
この映画では、一日あたりティースプーン40杯の砂糖を摂取し、それを60日間続けたらどうなるか?という実験をしています。「ティースプーン40杯」と聞くと、ものすごく多く感じますが、初日の朝食でシリアル、ヨーグルト、リンゴジュースという、結構ヘルシーとも感じられるメニューに含まれている砂糖の量が、なんと、ティースプーンで20杯分!ジャンクフードを食べているわけでもないのに、朝食だけで一日の半分量になってしまったのです。
昔の人々は、食料が足りなかったので選り好みはできませんでした。特に糖分は少量しか摂取できなかったので、それを口にしたときは最大限に摂取する能力を身につけました。そのため、現代のように簡単かつ大量に糖分を摂取する状況というのは、体にとって想定外のことです。
人類の長い歴史では糖分が少なかったため、人は本能で甘味を求めます。子どものうちから砂糖に慣れると、甘いものばかりを食べたがり、野菜を食べなくなってしまいます。
甘いものを見ると「ドーパミン」が分泌されます。糖が貴重だった頃のクセで、脳が「摂取しろ」と命令するのです。そしてそれを摂取して実際に甘味を感じると、βエンドルフィンなどオピオイド類が分泌され、気分は最高潮に達しますが、これは長続きしません。すると、再び良い気分になりたいため、甘いものを食べ続けようとして、その行動が習慣化してしまいます。
こうして、次第に砂糖の摂取量が増え、ますますそこから抜け出すのが難しくなります。砂糖はタバコと同じで常習性があり、体に大きなマイナスの影響を与えます。
食品業界は50年以上にわたり「肥満はカロリー過多と運動不足が原因」としてきましたが、この映画では、実験前と実験後の摂取カロリーは同じだったにも関わらず、体重は増え、ウエスト周りが太くなり、肝機能は低下、血中脂肪は上昇と、あきらかに体調が悪化しました。
砂糖はあまりにも生活に入り込んでいるため、砂糖をゼロにするのは現実的には無理でしょう。でも、砂糖が体にどのような影響を与えているのか?どのようなリスクがあるのか?を知れば、「砂糖の摂取を少なくしよう」という気になるのではないでしょうか。