暑い日が続くと、冷たい飲み物を飲むことが増えます。
脱水を防ぐためにもスポーツ飲料が推奨されますが、
その一方で、血糖値上昇の心配もありますね。

血糖値上昇が健康に悪影響を及ぼすということが知られるようになり、
近年、砂糖やブドウ糖の代わりに、血糖値を上げない
人工甘味料が使われた飲料が増えています。

人工甘味料は確かに血糖値を上昇させませんし、
熱量も無視できる程度です。
ところが、人工甘味料を使った飲料によっても
肥満や糖尿病を回避することができないことが分かっています。

その理由として、これまでは、人工甘味料の利用による効果を
過大評価したり、摂取エネルギーを減らせたと
安心したりすることで、余分に食べ過ぎてしまうのではないか、
という心理的な理由が考えられていました。

しかし近年、人工甘味料が味覚に及ぼす反応から
食べ方に影響が出る可能性があるようなのです。
本来、日常の食事では、甘味の感覚に続いて血糖値が上昇する
という反応が身体にはしみついています。

ところが、人工甘味料の場合は甘味の後に血糖値の上昇が起こらないため、
脳が混乱し、血糖値を上げようと余計に食べる行動が促され、
むしろ太りやすくなる、というわけです。

また、人工甘味料の強い甘味に慣れると、甘味に対する感覚が鈍くなり、
より甘い糖質を多く摂取する可能性もあります。
最近では、味覚を感じる細胞が舌だけでなく
腸管に存在することも明らかになっています。

腸管で甘味を感じると、腸から分泌されるインクレチンというホルモンが
インスリン分泌を促進したり、
腸からの糖の吸収が促進されたりすることが報告されているのです。
つまり腸管での味覚刺激が糖代謝に影響する可能性があるのです。

そういえば、私たち生物は、元々腸管だけで生きていました。
その腸管に味覚があり、その刺激から糖代謝に影響がある。
どんなに生物が進化したとしても、本質的な部分は変わらず、
無理な変化を身体に課すことはできないということですね。