腸内細菌については、
テレビなどで盛んに取り上げられるようになりました。
このブログでも「あなたはひとりじゃない」
と題して書いたことがあります。
腸内細菌の働きをまとめておきましょう。
・人が消化できない炭水化物(食物繊維)を分解してくれる
・人体が作ることのできないビタミンB群を作る
・腸管の壁を強固にする物質を作る
・免疫力を高める(リンパ球を増やす)
・炎症を抑える(制御性T細胞を活性化)
・ドーパミン、セロトニンなどの脳内物質の前駆物質を
合成して脳に送る
とてもありがたい存在ですよね。
それほどありがたいものならば、
どんどん増やしたいと思いますよね?
世の中には乳酸菌飲料や乳酸菌のサプリメントなど
多くの製品が腸内環境を整える目的で販売されています。
これらによって、腸内細菌は増えるのでしょうか?
実は、私たちの腸に棲みつくことができる菌は
生まれてから3年ほどの間に決まってしまうそうです。
最初は、出産時に母親から菌をもらいます。
なので、腸内に棲みついている菌のパターンは
母親と似ていると言われます。
その後は生活環境の中で少しずつ菌を取り入れ、
定着する菌が決まってきます。
その時期を過ぎると、いくら外から入れても
定着することがないのだそうです。だとしたら、
乳酸菌を摂ることは意味がないのでしょうか?
意味はあります。
菌が腸内に滞在する間に、
上記のような仕事はしてくれますから
意味はあると言えます。
ただ、いくら高いお金を出して毎日摂っても
棲みついてくれるわけではないのです。
だったら、元から棲みついている菌を
しっかり育ててあげることを考えましょう。
そのためにはどうするかというと、
腸内細菌の餌になる食物繊維をしっかり摂ることです。
食物繊維には大きく分けて2つ種類があります。
ひとつは水溶性食物繊維。
もう一つが不溶性食物繊維。
腸内環境を整えるには、そのどちらも必要ですので
さまざまな食品から食物繊維を摂る必要があります。
また、同じく腸内細菌の餌になる
オリゴ糖を摂るのも効果的です。
そして、腸内環境を整えるためには
腸内細菌だけではなく、腸そのものにも
目を向けてみる必要があります。
リーキーガット症候群という言葉をご存知でしょうか?
英語で書くと leaky gut syndrome (LGS)
腸に隙間ができて漏れてしまう、というイメージです。
何らかの原因で腸管に炎症が起こると、
適切に栄養素が吸収されずに疲労感や膨満感が起こります。
LGSによって開いた穴からは
大きい食物分子や汚染化学物質などが吸収され、
異物反応としての抗体が産生され、
アレルギーを発症しやすくなります。
腸管に炎症が起こると、
栄養素を血液中に運ぶタンパク質も損傷を受け、
広範囲の栄養素欠乏状態が起こり、
その栄養素欠乏による症状が起こります。
例えば、マグネシウム欠乏による筋痙攣、
銅欠乏による血中の高コレステロール状態。
本来、腸が担う解毒作用に障害が及び、
結果として化学物質や汚染物質が体内に侵入し、
これらの物質に対する「過敏症状」が発症します。
さらに、もうひとつの解毒組織である
肝臓に負担がかかり過ぎ、
十分な解毒が行われなくなる可能性があります。
また、腸管に炎症が起こると、
lgA (免疫グロブリンA)の保護膜が影響を受け、
体内は原生動物、バクテリア、ウイルス、
および、真菌類から防御できなくなってしまいます。
結果として、血液中にもこれらが容易に侵入し、
感染の機会が増えるのです。
このようなLGSを起こす原因は何なのでしょうか?
おもなものを挙げてみます。
・抗生物質(有益な腸内細菌を殺して、有害な細菌・寄生虫・
カンジダ・真菌類の異常繁殖を促す)
・鎮痛剤(イブプロフェン、インドメタシン等)
・副腎皮質ステロイド内服薬
・避妊用ホルモン(ピル)
・着色剤、防腐剤・酸化防止剤など、食品添加物
・アルコール類、カフェインなどの刺激物
・精製炭水化物食品(クッキー、ケーキ、清涼飲料、漂白パン)
・細菌によって腐敗、汚染された食物や地下水
・酵素欠乏
みなさん、思い当たることはありませんか?
原因と考えられているものの多くが
薬剤を含む化学物質ですね。
そして、注意が必要なのが精製炭水化物です。
現代人はこの辺りを摂り過ぎていますね。
そして、これらが加工されたお菓子には
マーガリンやショートニングといった
トランス脂肪酸と呼ばれるものもたくさん使われています。
これらのあぶらは、細胞膜に取り込まれると
細胞膜が硬くなり、膜の働きが悪くなってしまいます。
アレルギー反応も起こしやすくなると言われています。
糖分に関しては、砂糖の代わりに
オリゴ糖を利用すると
腸内細菌の餌にもなり、
腸内環境を整えてくれます。
私たちが外界から物質を取り入れる最前線である腸管の粘膜。
腸内細菌とともに大事にして
せっかく食べた食べ物が
しっかり身になるように心がけたいものです。