先日、患者さんとお話ししていて
ちょっとしたことだけれど、普段の生活を整えることで
症状はもっと改善できるんだろうなあ、と思いました。
でも、それがなかなかできないんですね。

以前から冷え性やひどい肩こりで通院されている女性なのですが
私「夜はよく眠れていますか?」
女性「眠れてはいるんですが、寝落ちしちゃうんです」
私「じゃあ、お風呂は?」
女性「朝にシャワーですね」

やはり1日の仕事が終わって、
夜にゆっくり温かいお風呂につかる、というのは
全身の血流を良くし、免疫を上げるためにも
ぜひともやっていただきたいことです。

特に、暑い夏の季節は、
室内は冷房がしっかり効いているわけですので、
思っている以上に身体は冷えています。

私たちの体の免疫システムは、
体温が低いとうまく働きません。
新型コロナウイルス感染症が流行している今、
できるだけ免疫力を下げないことが大事です。

日本人の感染者が他国と比べて少ないのは
お風呂に入るからだ、なんていう説もあるくらいです。
あながち馬鹿にはできないと思います。

質の良い睡眠をとるためにも、
その前にしっかり体温を上げて
体温が下がってくるところで寝入るのが一番です。

ところが、睡眠のことをおききすると、
寝落ちしてしまって、その後お風呂に入ると眠れなくなる、
とか、お風呂に入るのが面倒になって朝になってしまう、
という方は結構いらっしゃいます。
同じ時間の睡眠がとれたとしても
質が落ちてしまうので、もったいないですね。

かくいう私も、かつては仕事が終わって家に帰り、
食事をすると寝落ちしてしまうことがよくありました。
体力がなくて、夜は何もしたくない、
お風呂に入るのも面倒でした。

こういうことのそもそもの原因は、
エネルギー不足にあるのかもしれません。
つまり、エネルギーを作り出すための栄養が足りていない
ということかもしれないのです。

私の場合は、まさにそういうことだったのだと
後になって分かったのでした。
食事を整え、サプリメントを摂るようになり、
仕事の後でも、何かやろうという気力が湧くようになりました。
そうなると、お風呂にもゆっくり入れますし
普段の生活にゆとりができます。
睡眠の質も上がって、疲れにくくなります。

診療の中で日頃の生活のアドバイスをいろいろするのですが、
「睡眠をしっかりとりましょう」とか
「お風呂はしっかり湯船につかりましょう」など
それだけでは、なかなか実行に移せないものなんですね。
睡眠をしっかりとるためには、
その前に何かを改めないとならず、
それを改める前にやらないといけないことがある。
一筋縄ではいかないことも多いのだと思います。

ただ、だからと言って
不調のすべてを薬でなんとかしようとしても
無理な話です。

先日、慢性の皮膚疾患で来られた男性患者さん、
たくさんの皮膚科を受診してなかなか良くならない、
ということだったのですが、
出されているお薬を見ると、現代医学の薬以外にも
漢方薬、ビタミン剤なども処方されていて
治療としてこれ以上のことをするのは難しいな、と思いました。

そこで、食事のことをおききしてみました。
私「甘いものはお好きですか?」
男性「大好きです。食事を摂らなくても甘いものは食べたい。
ご飯よりもパンが好き。
パンにはマーガリンを塗って食べている」

そういうことでしたので、お薬の内容は変えずに
とにかく甘いものを減らすこと。
マーガリンは止めてバターかオリーブオイルに変えること。

患者さんが「治らない」というとき、
薬が効かない、治療が悪い、
という風に考えられがちですが、
食事や生活習慣を変えることで
どれほど改善が見られることでしょう。

実際にはなかなか実践していただけなくて
本当のところを検証できないのが
もどかしいところです。

確かに、食事や生活習慣を変えることで
すぐに効果が現れるわけではないでしょう。
それでも、本当に治りたいのなら、
手っ取り早く薬に頼ろうとするパターンを
変えていく必要があると思います。

どこからなら変えられそうですか?
まずできそうなところからで構わないので
さっそく始めてみましょう!