不眠を訴える患者さんが、クリニックにはたくさん来られます。
中には、「睡眠不足」を主訴に来られる方もいらっしゃいますが、
睡眠時間そのものが取れていないことには、できることは限られてしまいます。
もちろん、睡眠不足で弱ってしまった身体を立て直す手助けはできますが、
根本的な 解決にはなりません。
まずは、眠れるような環境作りをしっかりしましょう。

不眠になるような原因がある場合は、それを取り除く必要があります。

かゆみで眠れない方は、かゆみのコントロールが必要です。
アトピー性皮膚炎など、かゆみがある慢性の皮膚炎の方で
ステロイド外用剤や抗アレルギー剤を嫌がる方もいらっしゃるのですが、
眠れないくらいかゆいときには一時的に使うことをお勧めします。
眠れないことによるデメリットが大きいと考えるからです。

日中の運動が足りない方もいらっしゃいます。
適度な運動も大事ですが、寝る前に運動をしすぎると、
興奮しすぎたり、体温が下がり切らなかったりして、うまく眠ることができません。

お腹が空いて眠れない、ということを経験されたことがある方も
いらっしゃるかもしれません。
睡眠中に血糖値が下がって眠りが浅くなる、という現象もみられます。
これは、甘いものをよく摂る方にみられます。
歯ぎしりをする方、悪夢を見る方は特に、
甘いものを摂り過ぎていないかチェックしてみる必要があります。

甘いものを習慣的に摂っていると、血糖値の急激な変動を繰り返し、
寝ている間に低血糖状態に陥る可能性があります。
低血糖になると交感神経が優位になるので、眠りが浅くなり、
歯ぎしりや悪夢を引き起こしやすくなります。

高ぶった気持ちをリラックスさせるために、香りを利用する方法もありますね。
リラックスさせるエッセンシャルオイル(精油)としてはラベンダーが有名ですが、
オレンジ、ネロリ、ゼラニウムなども良いでしょう。
香りには好き嫌いもありますので、ご自分が気持ち良くなる香りを見つけてみましょう。

ただし、合成香料を選ばないように気を付けてくださいね。
合成香料では、エッセンシャルオイルで得られるようなリラックス効果は得られません。
エッセンシャルオイルを選ぶときは、植物のラテン名の記載があるかどうか、
抽出部位が記載されているか、抽出方法が明記されているかどうかをしっかり見てください。

考え事、心配事があって眠れないということもあるでしょう。
考えがぐるぐる堂々巡りして眠れないときに、試してみていただきたいものがあります。

バッチフラワーレメディの「ホワイトチェストナット」。

みなさんは、バッチフラワーレメディをご存知でしょうか。
バッチフラワーレメディは、乱れた心や否定的な感情に働きかけ、
感情や精神のバランスを取り戻すシステムです。

英国の医師・細菌学者であったエドワード・バッチ博士は、
花のエネルギーが否定的な感情や精神 に働きかけ、
肯定的な感情へ置き換えていくことを発見し、
1936年にバッチフラワーレメディを完成させました。

バッチフラワーレメディとは、花のエネルギーを水に転写したもので、
保存料としてのブランデーやグリセリンとともに瓶詰されたものが販売されています。  

例えば、ホワイトチェストナットは、
心配事や不快な考えが頭の中で堂々巡りしてしまってどうにもならない人に役立ちます。
思考の悪循環を断ち切り、行き詰まった心配や不安を解放する助けになります。
心をリラックスさせ、本来の思考力や想像力を取り戻すよう働いてくれます。

バッチフラワーレメディには、個々の感情に対応する 38種類のレメディがあり、
そのうちの緊急用のレメディ5種類を組み合わせた、
レスキューレメディというものもあります。
レスキューレメディにホワイトチェストナットをプラスした、
「レスキューナイト」というものもあります。

花のエネルギーが感情や精神に働きかけると考えられていますが、
現在の科学ではまだ説明がつきません。
バッチフラワーレメディの中身を分析しても、
出てくるのは水と、保存料としてのグリセリンやブランデーだけです。

科学的な根拠がないにも関わらず、
バッチ博士が作ったフラワーレメディは、
世界中で使われるようになりました。
その当時から全く変わることなく、現在まで受け継がれています。
英国には、バッチフラワーレメディのコーナーを設置している薬局もたくさんあり、
試験前にはレスキューレメディがよく売れるという話も聞きます。

パニック障害の方から「いざというときに何か良い漢方薬はありませんか」
と尋ねられることがありますが、
保険でお出しできる漢方薬では、なかなか緊急時の対処は難しいと思われます。
そんなとき、このレスキューレメディを持っていると、役立つでしょう。
持っているという安心感だけでも違ってくると思いますよ。

環境を整えたり原因を取り除いたりしても、
どうしても眠れないというときは、漢方薬も役に立ちます。
そんなときは、ぜひ専門家にご相談ください。