昨日は敬老の日でしたね。
今、100歳以上の人が8万人を超えています。
ここ数年、毎年万単位で増えているのです。
「人生100年時代」という言葉も
よく耳にするようになりました。

健康で長生きできるのであれば良いのですが、
残念ながら、病気で寝たきりになってしまってからが長いと
本人も家族も社会も大変です。

ぴんぴんころりなどと言う言葉がありますが、
本当に元気で身の回りのことができる
高齢者が増えてほしいものです。
そのためには、若いうちから気をつけることが必要です。

ところで、老化って、いつから始まるのでしょうか?
個々の細胞のレベルでは、老化は生まれた直後から始まります。
胎児から採取した細胞はおよそ50回の分裂が限界だそうで、
限界まで分裂した細胞を老化細胞と呼びます。

そして、老化細胞では、増殖能力は元に戻りません。
若いうちは機能の低下した細胞は取り除かれ、
新しい細胞が補充されることで、組織としての機能を保ち、
老化を防ぐことができます。

しかし、年齢と共に細胞が入れ替わるスピードは遅くなり、
取り替えること自体ができなくなると、
組織の機能が低下し、徐々に老化が進行するのです。
やがて、細胞分裂の限界にまで達した細胞で
生きていかなければならなくなります。

さて、漢方や中医学といった東洋医学では、
新しいものを生み出す力は「腎」が担っています。
生命力の源です。

したがって「腎」の働きを高めることが、老化を防ぐ、
いわゆるアンチエイジングになります。

では、「腎」の働きを高めるには、
どうしたらよいでしょうか。
「高める」ためには、持っている力を温存したうえで
強める必要があります。

まず「腎」を温存するには、心身を酷使しないこと。
そして、冷やさないこと。
次に「腎」を強めるには、どうしたらよいでしょうか。

先ほど心身を酷使しない、と言いましたが、
身体を動かすことは大切です。
特に、「腎」が関与している筋肉をしっかり使うことが
重要になります。

「腎」が担っている、重力に抗する機能や平衡機能を
しっかり使うのです。
具体的には、背筋、腰、大腿筋、
下部腹直筋などの筋肉を使うこと。

表情や姿勢、歩き方など、上向き、外向きを意識して、
緩みやたるみを避けましょう。

年齢を重ねると、どうしても
筋肉がたるんできます。
背中が丸くなり、下腹が出て、
顎が前に出て、お尻は下がってきます。
そこで、これらに対抗するような姿勢を心がけるのです。

顔の筋肉はたるみがちになり、
口角が下がり、瞼も下がり、
下手をすると、眉間にしわを寄せてしまいます。
口角を上げ、目をぱっちりと開けて
眉も上に挙げるような表情を作ってみましょう。

では、食べ物は何に気をつけたらよいでしょうか?
腎気を育てる食べものというのが知られています。
一般的には黒い食材やネバネバした食材が
腎に良いと言われています。

ヤマイモ、ゴマ、黒ゴマ、キクラゲ、黒豆、
ヒジキ、わかめ、キノコ類などですね。
「腎」の力を強くする作用があり、
「腎」に水分を与え、身体全体の潤いのもとになります。

とはいえ、これらの食べ物を食べれば食べるほど
腎の力が高まるわけではありません。
摂り過ぎはかえって害になることすらあります。

というのも、腎の力を有効に発揮するには、
「脾」の助けを借りることが必要です。
「脾」とは、消化吸収の働きに当たります。
無理に規則正しい食事をして
胃腸に負担をかけることのないようにしましょう。

空腹感もないのに高栄養食を押し付けてはいけません。
「身体の声」に耳を傾け、
身体が喜ぶものを食べて、
自分も楽しむことが大事です。

さらに、何よりも大切なのが睡眠です。
睡眠中は身体活動を停止させているので、
その間に、活動で消耗したものを回復させ、燃料を作ります。
身体機能の基礎力を提供することになります。

特に、夜間は身体の修復には効率が良い時間なので、
同じ睡眠時間でも夜間の早い時刻から
睡眠をとることが大切です。
実は、これが薬以上の効果を発揮するのです。

日頃からこのようなことに気をつけて、
ただただ老化を恐れるのではなく、
元気にバランスの良い老化をめざす
ウェルエイジングしていきましょう。