立春も過ぎ、梅の花もほころび始めました。春の訪れはもうすぐですね。
本来でしたら寒い冬に終わりを告げ、春の訪れを歓迎するところですが、
「春の到来=憂鬱」になる⼈もいることでしょう。
そうです、花粉症の⼈にとっては憂鬱な季節の到来です。

東洋医学的に⾒ると、花粉症は体を守る「衛気(えき)」の失調です。
この衛気は五⾏で⾔うと「肺」と深い関係があります。
それと同時に胃腸と関係の深い「脾」、
⽣命のエネルギーを⽀える「腎」、
ストレスと関係の深い「肝」の⽇頃の状態が、
「肺」に影響を及ぼし花粉症を⽣み出します。

①「肺」と花粉症

春⼀番に代表されるように、春は強い⾵が吹きます。
体にとって有害な、悪さをするものを「邪気」と⾔いますが、
春の⾵はウイルスや花粉などさまざまな邪気を連れて
体に侵⼊します(⾵邪(ふうじゃ)と⾔います)。

こうした邪気から体を守っているのが「衛気」です。
衛気は体表を流れる気の⼀部で、東洋医学では「肺」の機能の⼀部と考えています。
⿐やのど、⽪膚などにバリアのように存在し、邪気の侵⼊を防ぎます。

くしゃみや咳、⿐⽔などは花粉症ではなくても⾒られることであり、
のどや⿐の粘膜に付いた有害なものを出そうとする正常な防衛反応です。
これも衛気の働きによるものです。 花粉症はこの反応が過剰に起こっており、
衛気がうまく機能していないということです。

花粉症は⿐の他、⽬、のど、⽪膚、胃腸にまで症状が出ますが、
これらの場所は東洋医学的にみるとみな「肺」と深い関係があります。

⽣活習慣の乱れやストレス等は「脾」、「腎」、「肝」の働きに悪い影響を及ぼし、
さらに「肺」に及び、花粉症を引き起こすのです。

②「脾」と花粉症

「脾」は簡単にいうと胃腸の働きのようなものです。
現代⼈の⾷⽣活は豊かで、体が必要としている以上のカロリーを摂りがちです。
また、1年を通して冷たいものを飲んだり⾷べたりする機会も多くあります。
これらのことは「脾」に⼤きな負担をかけます。
「脾」の働きが低下すると、消化・吸収が上⼿くいかなくなり、
吸収されない栄養物が液状のまま体内に溜まります。
この余分な⽔分を「湿」と⾔いますが、
「湿」は体の正常な働きを妨げ、防衛⼒を低下させます。
そして「肺」に溜まると⿐⽔や涙のもととなります。

③「腎」と花粉症

「腎」は⽣命活動の源であり、⽣命を維持するための
熱(腎陽)や⽔(腎陰)を蓄えています。

冷たいものの飲⾷は、「腎陽」を消耗し、体が冷えて「湿」を強めます。

⼀⽅、過労や夜更かし・睡眠不⾜は「腎陰」を消耗します。
「腎陰」の消耗は体から潤いを奪い、「熱」・「燥」・「⾵」の状態をつくります。
「熱」・「燥」・「⾵」は充⾎や⾚み・乾燥につながります。

④「肝」と花粉症

「肝」は体内の⽣理機能をスムーズに促進する働きがあります。
ところが怒りや不満、ストレス等があると、
「肝」に影響を及ぼし、「肝」の働きが 悪くなります。

花粉から体を守る「衛気」は体の中を流れる気の⼀部ですが、
気の流れを調節しているのが「肝」です。
ストレス等は「肝」の働きを低下させ、
気の流れがこもり、「衛気」にも影響を与えます。

また、気には体を温める作⽤がありますが、
気がこもると熱に変わり、「熱」「燥」「⾵」といった状態をつくります。
その「熱」が「湿」と結びつくと、どろどろとした「湿熱」を作り出します。
⽬の充⾎やかゆみ、⿐づまりや粘っこい⿐⽔はこのためです。

⑤花粉症になる仕組み(まとめ)

 春になると植物は芽吹き、動物も冬眠から⽬覚めたりと、
活発に活動するようになります。
⾃然界が動き出すと、⾃然界の⼀部である⼈間の体も活発に動き始めます。
今まで体の奥に潜んでいた「気」が、体表に向かって湧き上がるようになります。
この動きに乗って、⽇頃溜まっていた体の歪みが体表を司る「肺」に集中します。
体表を守るはずの「衛気」が⽇常⽣活の乱れによって悪影響を受け、
防衛⼒が低下し ているところへ花粉が来ると、
「衛気」はくしゃみ・⿐⽔・涙等で追い払おうとします。
この動きをきっかけに溜まっていた「湿」がどっと溢れ出し、
⼤量の⿐⽔や涙につな がるのです。

 ⼀⽅、熱の状態が強いとかゆみや乾燥ばかりで、
体の中の余分な⽔分は出ないこともあります。

 また、くしゃみが⽌まらないのは、
こもっていた「気」が「衛気」の発散をきっかけに爆発するからです。

⑥花粉症のタイプと養生法

★冷えているタイプ

くしゃみ・⽔っぽい⿐⽔・⿐づまりはあまり強くない・
寒さに弱く、冷えがある・
の どはあまり乾かない、乾いたとしても温かい飲み物を欲する
等の特徴があります。
肺・脾・腎陽に問題がある場合が多いです。

★熱のタイプ

くしゃみ・粘っこい⽩い⿐⽔・⿐づまり・
⽬がかゆい・⽬の充⾎・のどがよく乾く・
冷たい飲み物を欲する等の特徴があります。
肺・腎陰・肝に問題がある場合が多いです。

あなたの花粉症はどちらのタイプだったでしょうか︖
花粉症の仕組みや、⾃分の花粉症のタイプが理解できたら、
対策や養⽣法ももうお分かりかと思います。

・カロリー過多の⾷べ過ぎに注意し、⾷べ過ぎたら運動して消化しましょう。

・冷たい食べ物・飲み物の摂りすぎに注意しましょう。
特に午後に⽔分を多く摂りすぎると、翌⽇の⿐⽔・⿐づまりが悪化します。
深酒はもってのほかです。
男性はビール、⼥性は⽣野菜、⼦供は⽜乳を多く摂りがちです。
またヨーグルトが花粉症に効くと話題になっていますが、
ヨーグルトも体を冷やす⾷べ物です。摂りすぎには注意しましょう。

・薄着で体を冷やすことは避けましょう。

・過労、睡眠不⾜、ストレスを改善しましょう。
規則正しい⽣活を⼼がけ、明るい気持ちで過ごしましょう。

どの養⽣法も難しいことはなく、簡単に実践できることばかりです。
「なーんだ、特別な秘策など何もないじゃないか︖︕」と、
がっかりした⽅もいらっしゃるでしょう。
⾷事や睡眠等を規則正しくとり、体だけではなく、
⼼も平安で健やかに⽇々過ごしている⼈を、
この現代社会で⾒つけるのはなかなか難しいことです。

現代⼈に花粉症が急増している理由の⼀つがそこにある、
と⾔っても過⾔ではないでしょう。
ぜひ、できるところから⽣活を整えてみてください。

しかし、花粉症の時期だけ熱⼼に頑張ってもあまり意味がありません。
季節を問わず、⽇頃から取り組み、整えることが⼤切です。
例えば冬場にビールを多飲したり、暖かい部屋で⾷べるアイスは最⾼♡と、
冷たい物を多く摂ったりするのは花粉症の材料を注ぎ込んでいるようなものです。

次の春に向けて、⼀年を通した養⽣はとても⼤切なことです。

そして、⽣活を整えると花粉症だけではなく、
体質も変わってくるので他の調⼦も改善されるでしょう。