みなさん、漢方薬にどのようなイメージをお持ちですか?

苦い!! 即効性がない!!

これは以前のクリニックのスタッフのイメージでした。

その後のスタッフの変化をお読みください。

--------------------------------------------------------

私が初めて漢方を口にしたのが、葛根湯でした。

みなさんもご存じだと思いますが、“かぜのひき始めには・・・”

ゾクゾクと悪寒が走り、まさにそんな状態でした。半信半疑で飲んでみたところ、、、

やはり苦い…   しかし、その「ゾクゾク」が「ポカポカ」に変わっていきました。そして、翌朝にはスッキリ!!

これで漢方の概念が変わりました。良薬口に苦し!! です。

----------------------------------------------------------

私自身も葛根湯を愛用しています。風邪のときだけでなく、肩こりのときにも、とても頼りになります。飲むとすぐに背中のあたりが「ほわっ」と温かくなって、体が緩んでいくのが分かります。

「漢方薬って、即効性ありませんよね?」

患者さんからもこんな質問をされることがあります。もちろん、長年にわたって患ってきた病気が良くなっていくには、それなりの時間が必要になります。でも、漢方薬がそのときの状態にぴったり合っていると、短時間で劇的に改善するということもよく経験します。私自身のそんな体験です。

子どもたちも大きくなり、上の娘と下の息子とがちょうど6学年違いということで、 受験、卒業、入学、という慌ただしさがダブルで続いた後、どうも具合が悪くなりま した。おそらく膀胱炎なのでしょう、下腹部の不快感が続くようになりましたが、痛みがあるわけでもないので、仕事の忙しさもあり、そのまま日々が過ぎていきました。

そんななか、漢方に関する本を読んでいると、このような文章に行き当たりました。

「ストレスで発生した肝の熱が経絡を通って泌尿器・生殖器に及んで炎症を起こす。そのような状態に対する処方が竜胆瀉肝湯である」

これこそ、今の私の状態だ!

その足でドラッグストアへ行き、竜胆瀉肝湯を買いました。その夜1回分を服用したところ、翌朝にはびっくりするほどすっきり。たった1回飲んだだけなのですが、その後、再発することもありませんでした。

今、花粉に悩まされている方も多いと思いますが、小青竜湯はかなり即効性があります。一度お試しください。効果を感じられないときには漫然と続けることを避け、ぜひ専門家にご相談ください。

さて、今度は、漢方薬の力を私が初めて実感したときのエピソードをお話ししましょう。

私には子どもが2人います。1人目の子どもが生まれた後、仕事で徹夜に近いことを繰り返し、無理を重ねていたことがありました。そんな生活がたたったのでしょう、体調を崩しがちになりました。

生理痛がだんだん強くなり、生理前にも腹痛、腰痛が出て、月の半分くらいは痛みに悩まされるようになってしまいました。出産後2年くらいで2人目ができるといいな、と思っていましたが、 いっこうに授かりません。

あまりに痛みが続くので、婦人科を受診したところ、血液検査から「軽い子宮内膜症があるかも」ということでしたが、処方されたのは鎮痛剤だけでした。

そして「漢方薬を出してもいいけど、どうせ効かないからね」と言われたのです。

「え?」と耳を疑いました。

鎮痛剤こそ、何も根本的な解決にはならないではないか!

当時1人目の出産から既に4年以上経っていました。 体力にもあまり自信がなかったので、 次の誕生日を迎えるまでに妊娠しなかったら諦めようと思っていました。だったら自分でできることはやってみようと、漢方薬を試してみたのです。

まずは当帰芍薬散。2か月ほど飲んでもあまり変化がないので、桂枝茯苓丸に変えてみましたが、あまり変化しませんでした。加味逍遥散も試しましたが、ピンときません。その次に温経湯を飲み始めたところ、体が整っていくような感覚があり、生理前も生理中も、痛みがずいぶん楽になりました。そうこうするうちに、自然に妊娠することができたのです。

***

若い人がたまに徹夜をして疲れても、よく眠れば回復します。でも、睡眠不足を続けていると、体はどんどん消耗してしまいます。よく眠るくらいでは元に戻れなくなってしまうのです。そんなときには漢方薬が頼りになります。体のバランスの乱れを正して、正常な機能を取り戻してくれるのです。

もちろん、漢方薬を飲むだけではなく、生活を見直すこともとても大事です。

このエピソードは20年近くも前の話。今では医師の間で漢方薬の効果が広く認められるようになりました。かつての私のように自分で適当に選んで飲んでみるのではなく、専門家に相談したうえで、そのときのご自分の状態に合った漢方薬を処方してもらってくださいね。