以前も、睡眠の大切さについて書きました。
クリニックで患者さんのお話を伺っていると、
睡眠をもっと大事にしてほしいなあ
と思うことがたくさんあります。
具体的な例を挙げて、考えてみましょう。
ある20代の女性が肌荒れを気にしていらっしゃいました。
私「最近、生活で何か変わったことがありましたか?」
女性「最近、彼といっしょに住み始めて…」
私「いっしょに暮らし始めると、いろいろあるよね」
女性「睡眠不足で」
私「睡眠不足?」
女性「ベッドが狭くて」
なんと、二人はひとつのシングルベッドで
いっしょに寝ているというのです。
私「仲がいいのはいいけど、
寝るときは気持ちよく別々に寝たら?」
次の診察日、話をきいてみると、
彼が床にマットを敷いて寝てくれるようになって、
よく眠れるようになったそうです。
よかった、よかった。
30代男性の患者さん。
かなり太っていらっしゃいます。とても暑がり。
暑い季節になって、夜は寝苦しくて目が覚めてしまうそうです。
男性「妻がエアコンの温度を下げさせてくれないんですよ~」
結婚してまだ間がありません。でも、
私「寝るときは別の部屋にしたらどうでしょう?」
男性「ですよね~。妻に聞かせてやりたい!」
男性と女性で、快適な温度に開きがあることが多いもの。
それを我慢していると、すごくストレスになりますね。
ものすごく基本的なところなので、それが満たされてないと
そのしわ寄せが思わぬところに出てしまいかねません。
何を隠そう、我が家もずっと寝室は別です。
暑さ、寒さの感覚があまりにも違い過ぎて、
とてもいっしょの部屋では眠れないのです。
おかげで(?)仲良くやっています。
30代女性のライターさん、最近、眠れない、
とおっしゃいます。
よくよく話をきいてみると、
最近、雑誌の企画で運動が必要になり、
夜にランニングを始めたそうです。
私「原因はそれですね。ランニングをする時間を変えましょう」
日々の運動は大切ですが、
運動する時間が夜しかない、ということで、
夜遅い時間にランニングなどの運動を
される方がいらっしゃいます。
そうすると、交感神経が興奮してしまって、
なかなか寝付けなくなってしまうんです。
寝る前にゆっくり呼吸しながら
ストレッチするのは良いのですが、
交感神経を高ぶらせるような激しい運動は、
日中にするようにしましょう。
40代女性、最近、悪夢をみるようになったと言います。
私「甘いもの、お好きですか?」
女性「はい、好きです」
私「寝る前に食べたりしてませんか?」
以前も書きましたが、
甘いものを食べると急激に血糖値が上がります。
その後、急に血糖値が下がります。
そうすると、身体は危機的な状況を回避しようと、
血糖値を上げるために
アドレナリンを分泌します。
この状態は、身も心も危機的な状況になっているのと同じです。
寝る前に甘いものを食べると、
寝ている間に血糖値が下がり、
同様の状態に陥ると考えられます。
その時に見るのが悪夢というわけです。
このかたは、甘いものを夜に食べるのをやめたところ、
悪夢を見なくなったそうです。
暑い季節になると、
「エアコンが嫌いだから、つけないでいると、
暑くて何度も目が覚めてしまう」
「エアコンのタイマーを設定しておくと、
切れるたびに暑くて目が覚めてしまう」
と言う患者さんが増えます。
これでは、睡眠を十分にとることができず、
身体を休めることができません。
さらに、熱中症の約40%が
睡眠中に起きると言われています。
睡眠中は気温の調節ができないので心配ですよね。
にもかかわらず、
「エアコンは使わない」
とおっしゃる方が結構いらっしゃるので
こんなアドバイスをしています。
「寝ている部屋ではなくて、
隣の部屋のエアコンをつけて寝てください」
「最近のエアコンは、サーモスタットがついているから
温度が下がるといったん切れて、
一定の温度に保ってくれるから、
かけっぱなしでも大丈夫ですよ」
私自身は、隣の部屋のエアコンをつけ、
身体に優しい風を送ってくれる扇風機
を使っています。ご存知でしょうか?
以前NHKの朝ドラに
「自然界の風を再現する扇風機」として登場しました。
少々値が張りますが、音も静かで手入れも簡単、
すごく快適で、電気代もかかりません。
数年前に購入しましたが、とても良い買い物だったと、
今でも思っています。
さあ、あなたも眠るときの環境を整えて、
より良い眠りをしっかりとってください。