『泣きたいだけ泣いてごらん』

みなさんは、最近、思い切り泣いたことがありますか?

こんなタイトルのCDがあります。
20年以上も前に発売されたものですが、
三枝成彰氏が編曲を手掛けた日本の歌を
「ベルリンフィル12人のチェリスト」が奏でるというもの。
数年前にリマスター版が出ていました。

「泣くこと」は、ストレス解消法の一つです。

「泣く」という行為は、人間だけが持つ能力の一つです。
単に涙の分泌、ということではなく、
喜怒哀楽に応じて涙を流すというのは、
人間ならではのものなのだそうです。

小さい頃「泣くんじゃありません」と怒られたり、
男の子だと「男だったら泣くな」
と言われたりしませんでしたか?
大人になれば「泣くなんてみっともない」
と我慢していませんか?
泣きたいだけ泣く、ということを
自分に許していないのではないでしょうか。

ものすごく悲しい出来事があったとき、
例えば愛する人を亡くしたときなど、
しばらくはなかなか泣けないといいます。

東日本大震災のあと、あるミュージシャンが
コンサートを開くことを躊躇していたところ、
「泣かせてほしい」とコンサートを依頼された、
という話もあります。

ストレスが溜まっている状態は、
自律神経の交感神経が優位になっている状態です。
でも、「泣く」それも「号泣する」というのは
副交感神経が優位にならないとできません。
そのような状態を意図的に作って「泣く」ということが、
ストレス解消に役立ちます。

つまり、泣けるアイテムと空間を準備するわけです。
音楽、映画、小説など、感動できるものなら何でもよいのです。
そして、誰にも気兼ねなく、
思い切り泣ける時間と場所を確保しましょう。

むか~し昔、私にも大失恋をしたことがあり、
そのどうしようもない気持ちを何とかしようと、
毎晩、泣ける音楽をかけてドライブしていた時期がありました。
今から考えると、なかなか良い方法だったのだなあと思います。

あなたにとって、
「泣ける」アイテムは、何ですか?
泣ける場所はどこですか?
ストレスが溜まっているなあ、と感じたら、
そのアイテムとともにその場所へ行きましょう。

私のストレス解消法のひとつに、映画を観ること、というか、映画館へ映画を観に行くことがあります。映画そのものも好きですが、それを日常ではない空間で観る、ということが大事なんです。家にいると、いろいろ気が散ることもありますよね。
電話がかかってきたり、宅配便が届いたり…。

日常から離れて何かに没頭する、という時間が、
ストレス解消には大事です。
みなさんには、没頭できるもの、
ストレス解消法がありますか?

絵を描く、漫画を読む、ゲームをする、
というのもあるでしょうが、
ずっと同じ姿勢でいると体が凝ってしまいますね。
夢中にはなっても、ときどき休憩をとって
体を動かしてください。

運動が好きなかたは体を動かして
ストレスを解消するのも良いのですね。
でも、やり過ぎには気を付けてください。
ホットヨガ、岩盤浴なども流行っていますが、
汗をかきすぎるというのも、
漢方では体が消耗してしまうと考え、あまり良くありません。
ほどほどにしましょう。

また、ストレス解消のはずなのに、頑張り過ぎて、
かえってストレスになることのないよう にしましょう。
誰かと競争したり張り合ったりすることで、
ストレスを溜めてしまうこともあります。

まずは自分の身体と心が、今どういう状態なのか、
楽しんでできているか、疲れすぎていないか、
しっかり感じることが大事です。
そのうえで、今何をどのくらいするのが良いのか、
自分で決めるというのが、本当に健康なあり方です。

決められたメニューを盲目的にこなしたり、
目標達成にばかり目を向けたりするというのは危険です。

運動をするのであれば、それに見合った身体の状態なのか、
栄養は十分に足りているのか、疲れすぎていないか、
などをよく考えることが大事です。

なんか疲れているな、気が進まないな、と思ったら、
いつもとは違ったぐっと軽いメニューにしたり、
さっさと切り上げて散歩をしたり、気分を変えてみましょう。

以前、患者さんにフルマラソンを走る、
と言って毎日トレーニングをしているかたがいましたが、
血液検査をしてみると明らかな貧血でした。
そのまま走り続けたのでは、身体に多大な負担がかかります。
体調管理には気を付けながらやりましょう。

自分に合ったストレス解消法を見つけ、
必要に応じてすぐにできるような環境を
作っておくことが大事ですね。