先日、患者さんがこう言われました。

患「眠りが浅いんです」
私「何時に寝ているんですか?」
患「10時半くらいには寝ています」
私「起きるのは何時ですか?」
患「7時か8時」

私「う~ん、寝過ぎじゃないですか?
運動はしていますか?」

睡眠はしっかりとらなければ、と
スッキリ起きられるまで、二度寝、三度寝をしてしまい、
夢ばかり見ているとのこと。
運動もまったくできていないそうです。

「7時間眠れば十分なので、
そこで目が覚めたら、起きちゃいましょう。
朝起きたら、ベランダでいいので、外の光を浴びましょう。
日中は運動をしっかりしてください」

新型コロナの影響で、在宅勤務になったり、外出を控えたりするようになり、
運動量がめっきり減ってしまった方がたくさんいらっしゃいます。
そのせいで太ってしまった方もいますし、
この方のように、うまく眠れない方もいらっしゃいます。

睡眠時間がどれだけ必要かは、人によって異なりますが、
基本的には、日中に身体を動かして適度に疲れないと
うまく眠りにつくことができません。
私たち人間は、動物なので、動くことが大前提となっています。
いくら疲れていると言っても、
頭ばかり疲れていては、これもうまく眠れません。

睡眠は、深い眠りと浅い眠りを繰り返しますが、
最初が深く、だんだん浅くなっていきます。
最初の眠りで十分な深さと長さが得られれば、
熟眠感が得られます。

二度寝、三度寝をして、
変なタイミングで起きてしまうと
すっきり目覚めることができません。

そこに運動不足が加わり、
なんとなく眠いけれど深く眠れない、
というような状態になって
悪循環を繰り返しがちです。

また、コロナで家にいる時間が増えて、
甘いものや炭水化物をたくさん摂ってしまうと
夜中に低血糖になって、悪夢を見やすくなります。

以前、「悪夢ばっかり見るんです」と言われていた患者さんに
「甘いもの食べてませんか?」とお聞きしたら、
「最近、すごく食べます」というお返事が返ってきました。
甘いものを控えていただいたところ、
悪夢を見なくなったそうです。


身体が糖質に頼ってしまっていると
夜中、食べ物を食べない時間帯に
血糖値が下がってしまいます。
血糖値が下がると、身体は緊急事態だということで
なんとか血糖値を上げようと
交感神経を優位にします。

つまり、戦闘状態のようになるのです。
睡眠中でも、身体が戦闘状態になり、
筋肉も緊張するので、
悪夢を見るだけでなく、
歯ぎしりや食いしばりが強くなります。

これでは、せっかく寝ていても
身体も頭も休まりませんね。

コロナ太りの状態というのは、
ただ「太った」というだけでなく、
さまざまな弊害を生み出します。

昨年4月のような厳しい制限ではないにせよ、
これからも自粛要請が続く可能性があります。
そんな状況の中でも、
ご自分が健康であるために何が必要か、
今一度、生活を見直してみてくださいね。