「子どもを産む力を与える」という意味から来た名前がついている
栄養素があることをご存知でしょうか?
tocos(子どもを産む)+ phero(力を与える)
Tocopherol(トコフェロール)と呼ばれる栄養素です。

元々、不妊のネズミの実験から抗不妊作用が注目され、命名されたもので、
普段私たちがビタミンEと呼んでいるものです。
トコフェロールには多くの種類が存在し、なかでも
αトコフェロールが最も活性が強いとされています。

抗不妊作用が注目されて命名されたトコフェロールですが、
後に抗酸化作用があることが分かり、
抗不妊作用も抗酸化作用に基づくものだと考えられています。

抗酸化作用とは、いわゆる身体のサビとりの働きですが、
その機能を持つ栄養素としては、ビタミンCが有名かもしれません。
ビタミンCは水に溶けやすい水溶性、
ビタミンEは油に溶けやすい脂溶性です。

つまり、体内の部位によって、どちらが主に働くかが異なります。
私たちの身体を構成する細胞の膜はおもに脂質でできています。
この細胞膜におけるサビ取りを担うのがビタミンEというわけです。

私たちの身体には37兆個の細胞があると言われていますから、
ビタミンEもたくさん必要とされますね。

しかし、ビタミンEは、一旦サビ取りの働きをすると
その作用が弱まってしまいます。
弱ってしまったビタミンEの力を取り戻す働きをするのが
実はビタミンCなのです。

したがって、ビタミンEを摂るときには、
ビタミンCもいっしょに摂ることによって
相乗効果が得られるというわけですね。

さて、ビタミンEが細胞膜の抗酸化作用を持っているということは
さまざまな働きとして現れます。

血流改善
過酸化脂質形成防止
細胞膜の維持
免疫力向上
生活習慣病の発症予防

では、ビタミンEの不足によって起こる症状は何があるでしょうか。
更年期障害、月経痛、不妊
貧血、冷え症、動脈硬化
認知症、感染症、シミ・シワ・色素沈着

ビタミンEを多く含む食品には次のようなものがあります。

アーモンド
アボカド

鰻なら、1尾食べれば1日に必要なビタミンEの量をほぼ摂取できます。
アーモンドは、10粒食べると1日に必要なビタミンEの量の
約半分を摂ることができます。
アボカドは半分で1日に必要なビタミン量の半分が賄えます。

そのほかにもカボチャやハマチ、モロヘイヤなど
ビタミンEが豊富な食物があります。

血中のビタミンEが高値になると、
血液が止まりにくくなると言われていますが、
通常の食事の範囲であれば、過剰症の心配はほとんどありません。

そろそろ土用の丑の日。
鰻を食べて、ビタミンEを補給しましょう。