「漢方が新型コロナウイルスに対してできること」
という記事を書きました。

漢方の考えでは、外からの攻撃に対しては
身体の「表」で「肺」が守ってくれているのですが、
その働きを支えているのが
身体の「裏」、「肝」と「腎」であるというお話をしました。

実は、身体の最も深いところで、
生命力の源になっているのが「腎」なのです。

新型コロナウイルスのふるまいを考えてみると、
どうやら「表」の闘いだけではなく
「裏」の力にも影響を及ぼしやすいものだといえそうです。

つまり、「腎」の力をしっかり保っておかないと
闘うことができないということです。
では、「腎」の力を保つにはどうしたらよいでしょうか。

もちろん、「腎」の力を高める働きをもつ漢方薬もあるのですが、
それだけに頼るわけにはいきません。

身体本来の「腎」の力を日頃から高めておくことが
新型コロナウイルスに限らず、
どんな感染症に対しても最高の予防になるのです。

「腎」の働きを高めるには、まずは
持っている力を温存したうえで、さらに強める必要があります。

まず「腎」を温存するには、心身を酷使しないこと。
そして、冷やさないこと。
次に「腎」を強めるには、どうしたらよいでしょうか。

先ほど心身を酷使しない、と言いましたが、
身体を動かすことは大切です。
特に、「腎」が関与している筋肉をしっかり使うことが
重要になります。

「腎」が担っている、重力に抗する機能や平衡機能を
しっかり使うのです。
具体的には、背筋、腰、大腿筋、下部腹直筋などの筋肉を使うこと。
表情や姿勢、歩き方など、上向き、外向きを意識して、
緩みやたるみを避けましょう。

コロナで外に出なくなると、どうしても
筋肉がたるんできます。
背中が丸くなり、下腹が出て、
顎が前に出て、お尻は下がってきます。
そこで、これらに対抗するような姿勢を心がけるのです。

気持ちが沈むと、顔の筋肉はたるみがちになり、
口角が下がり、瞼も下がり、
下手をすると、眉間にしわを寄せてしまいます。
鏡を見て、口角を上げ、目をぱっちりと開けて
眉も上に挙げるような表情を作ってみましょう。

では、食べ物は何に気をつけたらよいでしょうか?
腎気を育てる食べものというのが知られています。
一般的には黒い食材やネバネバした食材が
「腎」に良いと言われています。

ヤマイモ、ゴマ、黒ゴマ、キクラゲ、黒豆、
ヒジキ、わかめ、キノコ類などですね。
「腎」の力を強くする作用があり、
「腎」に水分を与え、身体全体の潤いのもとになります。

ただし、腎の力を有効に発揮するには、
「脾」の助けを借りることが必要です。
「脾」とは、消化吸収の働きに当たります。
つまり、無理に規則正しい食事をして
胃腸に負担をかけないようにしましょう。

空腹感もないのに高栄養食を押し付けてはいけません。
「身体の声」に耳を傾け、身体が喜ぶものを食べて、
自分も楽しむのです。

さらに、何よりも大切なのが睡眠です。
睡眠中は身体活動を停止させているので、
その間に、活動で消耗したものを回復させ、燃料を作ります。
身体機能の基礎力を提供することになります。

体調が悪いと、体がだるくて眠くなりますが、
これを病気の症状と捉えるのではなく、
身体が回復しようとするときの作戦だと捉えましょう。

他の余計なことにエネルギーを使わずに、
少しでも早く回復しようとしているのです。
その身体の欲求に従って、しっかり心身を休める必要があります。
実は、これが薬以上の効果を発揮するのです。