ホメオパシーとは、
「似たものが似たものを癒す」という原理に基づき
植物・動物・鉱物などを
高度に稀釈し(薄めて)、振盪して(振って)作った
「レメディ」と呼ばれるものを使う自然療法です。

名前の由来もギリシャ語の
「似た」という意味のHomoiosと
「病・苦しみ」という意味のPatheia
から成り立っています。

「似たもの」と言いますが、
いったいどんな風に「似て」いるのでしょうか。

「似たものが似たものを癒す」という原理を
もう少し詳しくみてみると、
「健康な人にある症状を起こせるものは、
その症状に似た症状を治すことができる」
とされています。

ここからは花粉症に使われるレメディを例に挙げて
「似ている」ということについて考えてみましょう。

分かりやすいと思われるものとして、
タマネギのレメディを挙げてみます。

タマネギを切るとどうなりますか?
目が痛くなって鼻がツーンとして
涙や鼻水がたくさん出てきます。

どうでしょう?
花粉症の症状に似ていませんか?

ホメオパシーには赤タマネギから作られた
「アリウム・セパ」というレメディがあり
花粉症や鼻かぜによく使われます。

これが、
「健康な人にある症状(涙や鼻水)を起こせるもの(タマネギ)は
その症状に似た症状(花粉症や鼻かぜ)を治すことができる」
ということです。

ひとくちに花粉症と言っても、
人によって少しずつ症状は異なりますね。

鼻の症状よりも目の症状の方が強い方もいらっしゃいます。
目の症状によく使われるレメディに
「ユーフラシア」があります。
材料になっているのは、アイブライトと呼ばれる、
昔から目の病気に使われてきたハーブです。

アイブライトという名前は
eye(目)bright(輝く)。
あらゆる目の症状を和らげ改善し、
視力をよくすると考えられていたことから来ています。

このハーブには抗炎症作用や収れん作用があり、
目の充血や炎症を和らげ、疲れ目に効きます。
目のかゆみや鼻水などの症状にも有効なため、
花粉症に悩んでいる人にもおすすめのハーブです。
強壮作用や殺菌作用もあり、
結膜炎やものもらいなどの感染症、
アレルギー症状の緩和にも効果があります。

また、アイブライトには視力低下を防ぐ効果もあるといわれ、
17世紀の英国ではこのハーブを視力回復、
記憶力向上のために利用していたそうです。
アイブライトはヨーロッパの原産と考えられていて、
古くから目の万能薬として用いられてきました。

ホメオパシーでは、さまざまな病気の特効薬と考えられてきたものを
レメディとして取り入れていますので、
この「ユーフラシア」というレメディも目の症状に使われてきたわけですが
実はこの花の見た目が「目」に似ているんですよ。


通常の姿を逆さにしてみるとよりよく分かるのですが、
長いまつげにつぶらな瞳…
に見えませんか?

昔から、病気に効くものは
その姿かたちに表されているという考えがあり、
特徴表示説と呼ばれます。
このユーフラシア(アイブライト)は
そのような似方をしているものですね。

現代医学的に近い考え方から作られたレメディもあります。
ミックストポーレンmixed pollen。
さまざまな植物の花粉を混合したものから作られています。

現代医学では減感作療法とか舌下免疫療法として、
花粉のエキスを使った治療法がありますが、
その場合は、アレルギー反応を起こす植物の花粉を使います。
スギ花粉症ならばスギの花粉を使いますね。

しかし、ホメオパシーの場合、
必ずしも同じ植物の花粉でなければならないことはありません。
現に、ミックストポーレンは
ヨーロッパに多く生息する雑草類の花粉の混合で、
スギやヒノキの花粉は含まれていません。
そういう意味で、「同じもの」ではなく
「似たもの」と言えると思います。

さまざまな「似ている」をご紹介しましたが
ホメオパシーではこの「似ている」を広く深く追求することで
その方の症状を理解し、適切なレメディを選んでいくのです。