以前「抗酸化ネットワークを構築する」という記事を、
新型コロナウイルスの重症化との関連で書きました。

今回は、老化との関係で抗酸化ネットワークを
考えてみましょう。

老化の一因と考えられている活性酸素、
すなわち「身体の錆び」を取り除いてくれるのが
抗酸化物質。代表的なものに、次の5つがあります。

・α-リポ酸
・ビタミンE
・ビタミンC
・コエンザイムQ10
・グルタチオン

これらがネットワークを作って
効率的に錆びを取り除いているのです。

それでは、どんなものなのか順に見ていきましょう。

α-リポ酸は、身体のサビとりに大活躍します。
この後ご紹介するビタミンCやビタミンE、
コエンザイムQ10、グルタチオンなどの
抗酸化力をリサイクルする働きがあります。

まず、ビタミンCと一緒に摂ることで
ビタミンCを長持ちさせてくれる働きを持つんです。

α-リポ酸はチオクト酸(Thioctic acid)とも呼ばれ
牛・豚の肝臓、心臓、腎臓
ほうれん草、トマト、ブロッコリー
に含まれますが、その量は多くなく、
動物由来食品で1kgあたり1mg程度です。

次に、ビタミンEです。
ビタミンCを一緒に摂ることで、
相乗効果が得られます。

ビタミンEは脂溶性、
つまり油に溶ける性質をもつので
体内のあぶらの部分を
活性酸素から守ってくれています。

このときビタミンCが一緒にあると、
サビ取りをして疲れてしまったビタミンEを
もう一度甦らせてくれるんです。

ビタミンEを多く含む食品には、
うなぎ、アーモンド、アボカドなどがあります。

さて、ビタミンCは、
みなさん、よくご存じのことと思います。
ビタミンCのサビ取り作用は、
ビタミンCから電子(水素)が離れやすいために起こります。
この離れた電子(水素)がほかの物質を還元します。

さきほどビタミンEのところで説明したように、
ビタミンCを一緒に摂ることで相乗効果が得られます。
ビタミンCが豊富な食品には、
キウイフルーツ、菜の花、
赤ピーマン、ブロッコリーなどがあります。

コエンザイムQ10(CoQ10)は、
エネルギーを作り出すのに必須です。
CoQ10が足りなくなると、
細胞の中でのエネルギー作りが滞り、
最終的にエネルギーとして利用できなくなります。

CoQ10が足りなくなると細胞が
本来の働きをしきれなくなります。
生き生きとした毎日を過ごすためにも、
CoQ10はとても大切な栄養素なのです。

CoQ10には酸化型(CoQ)と
還元型(CoQH2)の2つがあって
身体の中でサビ取りに働くのは還元型CoQ10です。
還元型のCoQ10は、
体をサビ(酸化ストレス)から守ってくれます。

還元型CoQ10には、
身体のサビ取り(抗酸化)作用があります。
その働きには次の2通りがあります。

ひとつはCoQ10自身が直接サビ取りに働くというものです。
もうひとつ、間接的にサビ取りに働く場合は、
サビ取りをして疲れたビタミンEを
元の元気なビタミンEに戻すことによります。

CoQ10とビタミンEが一緒にあることで、
摂ったビタミンEの倹約になります。

CoQ10は体内で作られるのですが、
加齢とともに少なくなるため、
「老化」の大きな一因として
CoQ10の減少が注目されています。

例えば、心臓のCoQ10の量は20代がピークで、
40代で30%、80代では50%以上失われてしまいます。
脳でも、70歳ころからCoQ10の濃度が低下します。

CoQ10を多く含む食品には、
青背魚
・肉類(牛、豚など)
・大豆
・くるみ
・アーモンド
・ピーナッツ
・ほうれん草 などがあります。

体内で十分な効果を発揮するには、
現実的ではないほど
大量の食材を食べなければならないため、
CoQ10効果を出すには
サプリメントで摂るのが有効です。

グルタチオンは、肝臓やほかの細胞でつくられる
トリペプタイドです。
トリペプタイドとは、アミノ酸が3つ
(グルタミン酸、システイン、グリシン)つながっているもの。

グルタチオンは、体のサビ取り(抗酸化)に働くため、
アンチエイジング(老化防止)効果や
放射線障害予防効果があります。

グルタチオンは、抗酸化に
大きな役割を果たしています。
・生体恒常性の維持
・細胞内還元剤
・過酸化水素の還元(無毒化)
・酸化型アスコルビン酸の還元
・薬物・異物の解毒作用
・酵素の補酵素

グルタチオンは肉類や酵母など
多くの食品に含まれます。
グルタチオンの量は食品の鮮度や
加熱調理などによっても変化しますが、
次のようなものに多く含まれます。

・レバー
・肉類
・小麦胚芽
・パン酵母
・キウイフルーツ
・アボカド など

このように見てくると、
何度も顔を出す食べ物がありますね。
キウイフルーツ、アボカド、アーモンド。

これらを積極的に取り入れると良いでしょう。
ただし、摂り過ぎはいけません。

以前、クリニックに来た患者さんで、
全身に赤い発疹が出ていた方がいらっしゃいましたが、
薬やサプリメントは特に摂られていませんでした。

でも、よくよく尋ねてみたところ、
TVで「アボカドが体に良い」と言っていたので
1か月前から毎日摂っているというのです。

これが怪しいと思いましたので、
中止していただきました。
栄養価が高いだけに、
身体がもう要らないと言っているのですね。

他にも、キウイフルーツを食べ過ぎて
胃の調子が悪くなった方もいました。

前回お話ししたように、腹八分目が大事です。
また、同じものばかり摂ると、
アレルギーを起こしやすくなるということも
知られていますので、気をつけましょう。

若々しさは身体の内側からです。
活性酸素を過度に発生させるような生活は避け、
抗酸化物質をしっかり摂るように
心がけましょう。