前回、老化について書きました。
老化とは、一般的には「成熟期以降に起こる生理機能の衰退」
と考えられています。
身体のそれぞれの器官でどんな変化が
起こるかみてみましょう。

脳神経系
大脳萎縮や脳細胞の減少、神経伝達物質の活性低下
などから、認知機能の低下。
70歳以上の約1割、90歳以上の5割が、
認知機能低下に伴う認知症。

心血管系
左室の肥大や冠動脈硬化、運動時の最大心拍出量が低下。
心筋梗塞や心肥大、心不全、高血圧を引き起こす。

呼吸器系
肺胞数の減少、肺の弾性力の低下により、
呼吸機能が全般的に低下。

消化器系
咀嚼や嚥下能力の低下による誤嚥性肺炎、
消化管運動低下による便通異常、逆流性食道炎。

腎泌尿器系
糸球体の喪失や腎血流量の低下、
ろ過率の低下により夜間尿量が増え、尿失禁。

骨格系
骨量や骨密度の低下による骨粗鬆症や骨折、
関節液減少や滑膜の弾力低下による関節炎、
寝たきりとなる。

人は生まれてから亡くなるまで、常に変化しています。
若いときは「成長」と呼ばれますが、
老化はその延長線上にあるとも考えられます。

ただ、そのスピードには個人差があり、
臓器や器官によっても異なります。
遺伝的な要因もありますが、
概して外界からのストレスに対し、適応力が低下します。

老化のメカニズムは、
まだよくわかっていない部分もありますが、
近年注目されているのは、
「活性酸素」と「糖化反応」です。

今回は、この活性酸素について考えてみましょう。

活性酸素は、身体の様々な部分を錆びさせ、
機能を低下させる要因になります。
活性酸素を誘発するものとしては、
呼吸をした際に吸い込む酸素の一部、排気ガス、
たばこ、紫外線、激しい運動、心理的ストレスが挙げられます。

老化のスピードは40歳代より加速するのですが、
これは、「抗酸化酵素」の能力が
急速に減少するためと考えられています。

つまり、錆を取り除く能力が衰えるということです。
そのため、さまざまな組織に障害が出てきます。
これが「老化」というわけです。

老化の抑制には、代謝を抑え、活性酸素の蓄積を
抑制することが有効と考えられています。
具体的には、カロリー制限が有効とする説があります。

アカゲザルの実験で、
通常食を食べさせた場合と
カロリー制限食を食べさせた場合で比較したところ
カロリー制限食のサルの方が見た目も若々しく、
病気も少なかったというのです。
やはり、腹八分目、というのは大事なのですね。

ただし、老化には様々な要因が複雑に絡み合っているので、
「老化を確実に抑え込むこと」はできない
と考えるべきでしょう。

そのように考えると、「アンチ」エイジングではなく、
「バランスエイジング」「ウェルエイジング」を
めざすことが理にかなっていると言えます。

このように、老化に大きな影響を
与えている活性酸素ですが、
我々の身体にはそれを取り除くための
とてもよくできた仕組みがあります。

次回はそのことについてお伝えしたいと思います。