しばらく前から、コロナ後遺症ということで
通院してこられている方がいます。

ご自分でもいろいろ調べられ、
ビタミンやミネラルのサプリメントは
既に摂っていらっしゃいました。

頭痛やめまいがあるほか、
記憶力や集中力も落ちていて
発言したくてもなかなか考えがまとまらないそうです。

漢方薬をいくつか調整しながら診療を続けていましたが、
一進一退。天候の影響もあるようでした。

途中、他の医療機関の「コロナ後遺症外来」に行ったところ、
鍼の治療を受け、効果を感じられたものの、長続きはしなかったそうです。
また、そこで処方された漢方薬が合わず、
ひどい下痢をしてしまったため継続できませんでした。

その後も当院でいくつか漢方薬を試して、
多少良いかな、という感じでした。

サプリメントも継続的に摂られているので、
血液検査上は、大きな問題はなかったのですが、
食事についてお聞きしてみました。

すると、食欲がないわけではないけれど、
食べようという意欲があまりないと言います。
量的にあまり食べられていないのかもしれない、と思いました。

お肉や魚もちゃんと食べていますか?とおききすると、
お肉はあまり食べないと言われます。
理由をお聞きしてみると、以前、肉を食べるのを止めたところ
体調が良くなり、それから食べなくなったのだそうです。

そこで、お肉を食べたほうが良い理由について
少しお話をしました。

私たちは、食べたタンパク質をアミノ酸に分解して、
そのアミノ酸を組み立ててタンパク質を作ります。
タンパク質には動物性のものと植物性のものがありますが、
動物性と植物性では、アミノ酸の組成が異なります。

私たち人間は、まぎれもなく動物です。
私たちを構成するタンパク質も、動物性のタンパク質です。

その動物性タンパク質をつくるためには、
動物性タンパク質を構成する特定のアミノ酸がないと
効率的に合成することができません。

ということで、肉や魚をもう少し摂ったほうがいいですね、
とお話をしました。
その2週間後、その方が診察室に入ってこられたとき、
とても明るいエネルギーに満ちていました。

ここしばらく、お仕事で出張が続き、
普段自分一人では食べないようなものをたくさん食べたそうです。
肉や魚を含め、それも、腹十一分目になるくらい。
そうしたら、とても体調が良いのだとおっしゃいます。

もちろん、食べ過ぎは良くありませんが、
これまで、食べる量も減っていたのでしょう。
質・量ともにようやく十分なものが摂れたのだと思います。

動物性の食べ物を悪者扱いする方もいらっしゃいますが、
やはり非常に重要なものだということを示していますね。