朝晩、かなり肌寒くなりました。
最高気温が20度に満たない日も出てきました。
人々の動きがだいぶ活発になり、旅行に出かける方も多いのでは?
旅先でゆったり温泉につかったあと、お鍋をつつくのも良いですね。
熱い飲食物で体が温まるのは誰もが経験していることですが、
東洋医学では、食材そのものに
体を温めたり冷やしたりする作用があることを大事にしています。
みなさんがよくご存知のものでは、
辛子や胡椒で身体が熱くなる、というようなことですね。
辛子ほど顕著なものではなくても、
日常の食材を寒涼温熱の性質で分類することができます。
どちらでもないものは、平と言います。
ニンニクやラッキョウは温、
キュウリやトマトは寒、
キャベツや蓮根は平という具合です。
鍋の具としておなじみの、牡蠣、蟹、鮭、白菜、昆布は、
実は身体を冷やす寒の性質の食べ物なんです。意外ですね。
鴨肉や豆腐も、それよりやや弱いですが、涼の性質です。
食材には寒熱の性質だけでなく、それぞれの効能があります。
例えば、鮭の性質は寒ですが胃腸を温める効能があります。
総合的な作用は、食材ひとつひとつを検討しなければ分かりませんが、
基本的な特性として、寒熱の性質を知っていて損はないでしょう。
体を温める作用が強いのは羊肉です。
特に冷え症の人におすすめです。
家庭の食卓に上ることは少ない食材ですが、
旅先のディナーで羊肉料理を楽しむのも良いですね。
その他、温の性質のものには、
鰤、鯖、鯵、鮪、鰯、海老、牛肉、鶏肉、
ねぎ、にら、かぶ、玉ねぎ、生姜などがあります。
鍋の名脇役、椎茸、春菊、胡麻は平に分類されます。
このほかに冷やすものとしては、
前にあげたものの他に、あさり、しじみ、レタス、セロリ、
梨、柿、バナナ、グレープフルーツ、メロンなどがあります。
そのほか、調味料から調理油に至るまで、
こうした寒熱の性質やいろいろな作用を持っていて、
調理法も食材の効能を左右します。
冬は、冷え症の人に限らず、体の熱を温存したい季節。
体を温める食材を主体にするのが原則ですが、
寒涼のものを排除しようというのではありません。
一般に、温熱性のものは消化を高めて
元気を増やす作用がありますが、
過剰になると身体に余分な熱をこもらせるので、
気を付ける必要があります。
寒涼性食材の身体を冷やす作用は、解毒作用や排泄を促したり
余分な熱を解消したりする作用にもつながります。
食べ過ぎ、お酒の飲み過ぎ、ストレスでこもった熱などの
弊害を解消する有益な効能もあるのです。
こうした食材の性質や作用に目を向けると、
単純に身体に良い悪いを選択するのではなく、
それらをうまく組み合わせて、いいところを引き出すのが
賢い方法だということが分かります。
その点、伝統的な料理法には、豆腐に生姜、
刺身にわさびや紫蘇の葉などの付け合わせがあって、
身体にいい働きをさせる知恵がふんだんに織り込まれています。
そんなおいしいものを味わえる旅に、
この秋は出かけたいですね。