冬至も過ぎ、冬本番。
朝晩の冷え込みがつらい季節です。

「冷え」を訴える患者さんはとても多くいらっしゃいます。
特に女性に多いですね。

冷えている、ということは、熱が不足していると考えるのが自然です。
では、なぜ熱が不足するのでしょうか。

西洋医学的に考えると、
筋肉や肝臓でエネルギーが作られるときに
同時に熱が発生するわけなので、
その働きが弱っているから、ということになります。

東洋医学の場合は、熱源のおおもとは腎にあります。
特に「腎陽」と呼ばれるものです。
そして、その熱を全身に行きわたらせるためには
肝の働きが重要になります。

それとともに、心(しん)の働きも大切なのです。
この東洋医学における「心」というのは、
循環を司る心臓の意味合いもありますが、
「精神」の意味合いもあります。

そして、この「心」が活発に働くことによって熱の産生が高まります。
ところが、現代の生活においては、
残念ながら「熱」を不足させるような要因であふれています。

まず、運動不足。生活が便利になり、歩くことが減りました。
特にコロナ禍においては、外出を控えたり、在宅勤務が増えたりして
ますます運動量が減っていますね。

体内に取り入れるものに関しても、
季節感のないものが増えていて、
冬でも、冷たい飲食物や身体を冷やす性質のある
涼性の飲食物を摂ることが増えています。
体質や体調に関係なく過剰な飲水を勧めるのも考えものです。

熱の不足で冷えが生じるからといって、
外から温めても冷えは解消しません。
ただ、冷えるのを防ぐことは大事です。

本来の身体の活動に必要な熱を無駄遣いしないためにも、
冷たい飲食物などで体内を冷やすことは控えなければなりません。

そもそも、人が進化する過程で、
体内が冷たいもので冷やされることなど想定されていないはずなのです。
胃腸が冷えれば当然、胃腸の働きが悪くなります。

とにかく熱を逃がさないことは大事ですので、
服装には気をつけましょう。
「首」がつく部分、つまりくびれている部分は冷えやすいので、
冷えない工夫をしましょう。
首元、手首足首、膝裏、ウエストですね。

そして、抑うつ的な気分や、平坦な起伏のない感情では、
熱の産生につながりません。
コロナ禍で、閉じこもりがちになり、
毎日うつうつとしていると、熱の産生どころではありませんね。

気持ちを明るく、ワクワク感を大事に。
熱を逃がさない、冷やさない。
これからの本格的な冬の寒さに負けないで!