前回、アーユルヴェーダにおける風の質、
ヴァータについて書きました。
今回は、火の質、ピッタについて書きましょう。
その前に、アーユルヴェーダの目的とは、
何だと思いますか?
「健康な人の健康を護り、病気の人の病気を鎮静すること」
なのだそうです。
「病気の人」のことよりも「健康な人」のことが出てきます。
これは、健康じゃないと病気のことが分からないからなんだそうです。
アーユルヴェーダでは、病気の進行を6段階に分けます。
1から6まで、数字が大きくなるほど病気が重くなるのですが、
私たちが一般的に「概ね健康」と思っている段階も、
病気の第1、第2段階と考えます。
第3、第4段階は、自分では調子が悪いと感じているけれど、
検査では異常がない、いわゆる不定愁訴の段階になります。
第1、第2段階であっても、自分でよくよく観察すれば、
微細な変化が感じ取られるわけです。
つまり、第1~4段階というのは、自分で感じることで
自分がケアする主役になれるということなのです。
西洋医学だと、検査で異常値がないと病気とは考えられず、
自分の健康を護る主役が他人の手に握られてしまいます。
毎年の健康診断の数値を良くしたいから、
何か漢方薬はありませんか?
サプリメントのいいのはありませんか?
そんなことを言われる患者さんが
少なからずいらっしゃるのです。
しかし、これは本末転倒ですよね。
何のための健康診断なのでしょう。
健康は一夜漬けの試験勉強のようにはいきません。
その点、アーユルヴェーダは自分の状態をよく観察すれば
どのようにケアすればよいかが分かるのです。
さて、ピッタは火の質、「火」から連想されるように
その性質は熱さや鋭さ。
ピッタが優勢な人は、リーダータイプの人です。
ピッタの機能としては、変換する力があります。
物質を加熱すると、性質が変わりますよね。
身体の作用としては、消化や新陳代謝が当てはまります。
火の質が乱れたときに現れやすいのが「怒り」です。
怒りというのは、人間関係を壊しますね。
怒りをコントロールできるというのはとても大事なことです。
そのためには、まずは、火の質の乱れを示す
サインに早く気づくことが大事です。
そのサインとは
・肌の湿疹
・口内炎
・目の充血
・胃液がこみ上げる
・汗など体臭がきつい
・暖かい場所や、厚着でイライラしてくる
・何とかしなければ、と勢い込んでいる
・時計を何度も見る
・塩辛いものがやめられない
こんなサインが出てきたら
何とかしようと気持ちだけ焦ってもうまくいきません。
ピッタを整える方法に
食事(味)からアプローチする方法があります。
ピッタを増加させるのは、なんといっても塩味、
そして辛味、酸味です。
逆に整えてくれる味は渋味。といっても、
渋柿を食べるわけにはいきませんね。
渋味を上手に取り入れるには、
植物や小魚の全体を食べることがよいそうです。
苦みもピッタを整えてくれるので、
緑茶の苦みも良いですね。
甘味も良いのですが、白砂糖や人工甘味料ではなく、
天然の黒砂糖、キビ砂糖、果物、穀物から取り入れましょう。
リーダータイプの人は、頑張り過ぎてしまいがち。
火の質、ピッタの乱れを察知したら
ちょっと立ち止まって、
食べるものに気を配ってみましょう。