しばらく前に「皮膚科医泣かせの水イボには」
という記事を書きましたが、
皮膚科医泣かせなのは、水イボだけではありません。
普通のウイルス性のイボも同じなんです。

普通のイボの原因ウイルスは、
ヒト乳頭腫ウイルス(HPV)で、数多くの型があります。
ウイルスですから、移るのですが、
できやすい人、できにくい人がいますね。

皮膚科の外来で行われている一般的なイボの治療は
液体窒素を用いた冷凍凝固療法、電気焼灼法、
グルタルアルデヒド(保険適応外)などの外用療法や
ヨクイニン内服療法などです。

それぞれの患者さんに最も適していると思われるものを選んで行われます
これは、どの患者さんにとっても「これが一番効く」という
治療法がないということでもあります。

ある患者さんにとても良く効いた治療法が、
別の患者さんに効くとは限らないところが
イボ治療の難しいところなのです。

また、どの治療法を用いても、
一回の治療で治すことは難しいことが多く、
何回か繰り返してやっと治るのが普通なのです。
「自分のイボだけが治り難いのでは?」と焦らないでください。

反対に、無数にあったイボが、あっという間に
消えてしまうこともあります。

現在でもイボの根治的な飲み薬や塗り薬は見つかっていません。
イボを生じるタイプのHPVのワクチンも開発されていません。
さまざまな治療法が洋の東西を問わず古くから試みられています。

一定の効果が認められる治療法がある一方で、
信心やまじない、迷信の類も数多く存在します。
日本では、イボとり地蔵や、イボ神社が各地に存在していますね。

調べてみたら、こんなサイトがありました。
「いぼとり神様・仏様の全国リスト」
「これで治る!」と信じることで、
免疫力が上がるためと考えられています。

現在私の手元にある皮膚科の教科書には、
イボの治療法として冷凍療法をはじめとして
いくつかの方法が記載されているのですが、
その最後に「暗示療法」と書かれています。

実は、確かこの教科書の古い版だったと思うのですが
「おまじない」と書いてあった記憶があるのです。
当時、学生~研修医のころでしたが、
それを見て、びっくりしたのを覚えています。

しかし、臨床に出てみると、確かにイボの治りかたには
不思議なところがあることに気づきます。
なかなか治りにくい、というのは、
原因であるウイルスに対する免疫ができにくい、ということです。

それが、何らかのきっかけで免疫力が高まると
急速に治っていくわけですね。
イボの不思議でもあり、人体の不思議でもあります。

私の皮膚科医としての経験では、
特に足の裏のイボは治りにくい、と実感しています。
その足の裏のイボが娘(当時高校生)にできたとき、
痛い思いはさせたくないと思いました。

片側の足の裏に直径1㎝程の円形のイボができていたのです。
既にホメオパシーを使っていましたので、
あるレメディを1日1粒、毎日摂らせることにしました。

ところが忙しさにかまけて、私自身はチェックするのを忘れていました。
気が付いたのは1か月後。見せてもらうと、
イボは跡形もなく消え去っていました。

ホメオパシーのレメディにしても、
これが確実に効く、というレメディがあるわけではありません。

カリフラワー状の軟らかいイボ、角化が強い硬いイボ、
爪の周りにできるイボ、など
それぞれの特徴によって、よく作用するレメディが異なるのです。
また、イボができやすい体質、という観点から選べるレメディもあります。

このように、現代医学ではなかなか治療がうまくいかないものに
ホメオパシーが使われていくと、
恩恵を被る人が増えていくのだと思います。