「未病」という言葉があります。
2000年以上前の中国の書物
『黄帝内経素問』(こうていだいけいそもん)の中に
「聖人は未病を治す」と書かれていて、
予防の重要性が既に認識されていました。
「未病」とは、発病には至らないものの
軽い症状がある状態を指していて、
軽いうちに異常を見つけて病気を予防するという考え方です。
「いまだ病にあらず」ということではありますが、
決して健康ではありません。
健康から病気に向かっている途中の段階、
とも考えられます。
しかし、健康から病気の間というのは
グラデーションになっていてシームレス。
どこからが健康、どこからが病気、
ということは言えません。
未病には2種類あり、
①自覚症状はないが、検査値に異常がある場合
②検査値に異常はないが、自覚症状がある場合
どちらも未病とされています。
つまり、自覚症状があって検査値にも異常があるのが
「病気」と言えます。
①の「自覚症状はないが、検査値に異常がある場合」
に当てはまるものとしては
高脂血症、糖尿病、高血圧なども挙げられます。
これらは生活習慣病などとも呼ばれ、
健康診断によって見つかることが多いものです。
自覚症状がないので、本人はあまり困ることがなく
放置するとどんどん悪化してしまうことになりかねませんが、
「生活習慣病」とも呼ばれるように、
生活習慣を改めないことには、
根本的な改善が見込めません。
薬を飲んで数値が基準内に収まったからといって
喜んではいられません。
数値があまりに高い場合、
薬を飲んで数値を一時的に下げることに
意味がないわけではありません。
しかし、薬を飲む本当の意味とは、
その間に大きなトラブルに発展しないように時間稼ぎをする。
その間に生活習慣を改善して、自分で治していく環境づくりをする。
ということだと思います。
いくら健康診断で「未病」を見つけても
生活習慣の改善をせずに薬を飲んでいるだけでは
未病を治していることにはなりませんね。
ときどき、患者さんの中に
「もうすぐ健康診断があるから、
しばらくお酒をやめておく」とか
「検査の数値を良くしたいから
サプリメントを飲んでおきたい」
という方がいらっしゃいますが、
あまり意味があるとは思えません。
やっかいなのは、
②の「検査値に異常はないが、自覚症状がある場合」
のほうかもしれません。
検査値に異常がないということは、
健康診断で引っかかるわけではありませんし、
自覚症状があって病院へ行っても、
現代医学における「病気」とは診断されず、
治療対象にもなりにくいわけです。
その点、東洋医学は、
いわゆる「病名」がつかない状態であっても
症状に着目することで治していくことが可能です。
そのような観点から、
①を西洋医学的未病
②を東洋医学的未病
とも呼びます。
自覚症状があるということは
身体が「何かがおかしい」と叫んでいるということ。
その声に素直に耳を傾けてあげましょう。
症状というのは、些細なものであっても
「未病」を治す大きなヒントになるのです。
栄養療法、東洋医学、そしてホメオパシーは
この“ありがたい”症状を重要視して、
現代医学では治療の対象にならないような
「未病」の状態をきちんと捉えることができます。
そして、病気へと向かっていたベクトルを
健康へと向かわせることができます。