寒くなってきましたが、気温が下がっただけではなく、
関東は晴れの日が続き、乾燥が強くなっています。
皮膚科の診療をしていると、この季節は特に
乾燥で皮膚がかゆくなる方が増えてきます。

乾燥肌には保湿剤を塗るのが普通です。
皮膚科医として患者さんによくお話しするのは、
お風呂上りのまだ皮膚が濡れているくらいのときに
保湿剤をしっかり塗ってください、ということです。

お風呂から上がった瞬間から、
皮膚からどんどん水分が蒸発して
すぐに乾燥してしまいます。

ですから、その水分が蒸発する前に、
蒸発しないように蓋をするイメージで
保湿剤、特に油分を含んだもので覆うのです。

しかし、実は、お風呂そのものにも大事な役目があります。
もちろん、熱すぎるお湯は、皮脂を取り除き過ぎて
乾燥を悪化させる可能性があるので注意が必要です。

一方、乾燥肌の人は、汗をかきにくい、汗をうまくかけない人が多いんです。
実は、私たちの皮膚は特に運動しなくても、汗をかいています。
これを基礎発汗と呼びます。

汗には、乳酸カルシウムをはじめ
いくつかの保湿成分が含まれていて、
その働きによっても皮膚の水分量が保たれています。

汗をあまりかけないということは、
この天然の保湿成分が不足することになり、
乾燥しやすくなるというわけです。

ですから、基礎発汗がしっかりできなければなりません。
汗をかきにくい人は基礎発汗が少ないので、
汗を上手にかけるようにしなければなりません。

そのためには、普段から次のようなことに心がけましょう。
名付けて「汗活」です。

まずは湯船につかって温まる。
シャワーだけでは、身体の芯から温まりませんね。
血行が良くなって、冷えにも良いですね。

そして、辛いものや温かいものを食べる。
辛いものや温かいものを食べて、汗をかいた経験があるでしょう。
ただし、アトピー性皮膚炎など皮膚トラブルのある人は、
かゆみが出ることもあるのでほどほどに。

もう一つ大事なのが、運動です。
体を動かして、体温を上げることで、代謝も高まり、
汗をかきやすくなります。

これらを積極的に行うことで、汗をかきやすくなり、
汗の保湿成分によって皮膚の水分量が増えるのです。

乾燥肌にお困りの方は、この季節、「汗活」をしてみませんか?
ただし、今まであまりやってこなかった方は、
急に激しいことはしないで、少しずつ始めてください。

また、皮膚トラブルのある方が汗をかいて悪化するのは
汗をかきっぱなしにしていることによることが多いと思われます。
汗の成分が残って刺激になったり、
汗をかいたところにホコリが付きやすくなったりするのです。

汗をかいたら、きちんと後始末をしましょう。
全身の汗はシャワーで流せるといいですね。
タオルでふき取るのが良いのですが、
そのときには、ゴシゴシこすらないように気をつけましょう。