プラシーボ(プラセボ)効果って、ご存知ですか?
薬効成分がないもの(プラシーボ、偽薬)を投与して
薬効成分と同じような効果が得られる現象を言います。

「そんなのただのプラシーボ効果だろ?」
というような使い方をしたりしますが、
こういうとき、この「プラシーボ効果」は
ネガティブな意味合いで使われています。
つまり、「どうせ気のせいだろ?」というわけです。

ホメオパシーも、「ただのプラシーボ効果だろ?」と言われることがあります。
ホメオパシーは、物質を高度に稀釈したものを使い
理論上は元の物質の分子が存在しないようなレベルの稀釈度になっているため、
物質が存在しないのに効くわけがない、ということを言われるわけです。

しかし、実際に使ったことがある方にはお分かりのように
ちゃんと効果があります。
赤ちゃんや動物にも効果が見られるため
ただのプラシーボだと考えるわけにはいきません。

それに、200年以上も脈々と使われてきたのは、
効果があるからに他なりません。
イギリス王室では、王族一人一人に
ホメオパシーの主治医がいるそうです。

陸上競技男子100mと200mの世界記録保持者
ウサイン・ボルト氏は、子どものころから側弯症があり
筋肉に通常よりも負荷がかかる中でトレーニングを続けてきましたが
そのトレーニングを支えたのがホメオパシーだと言われています。

さて、プラシーボ効果に話を戻しましょう。
新薬が開発されるとき、プラシーボ、つまり「偽薬」と比較して
どれだけその効果に差があるかをみて有効性を判断します。

ある製薬会社(A社)が開発した
新しい鎮痛剤のパンフレットに書かれていた数字を見て
???と思ったことがあります。

このパンフレットには、「患者の印象による有効率」として
A社の新しい鎮痛剤、先に発売されたB社の鎮痛剤、
プラシーボ、の3つの比較をしていました。

その数字は、それぞれ76.2%、63.7%、68.0%でした。
この数字をどう考えますか?

A社はB社よりも有効率が高く、また、
プラシーボ群と比べて有意差があったとして
この鎮痛剤を勧めているわけなのですが、
そもそもプラシーボ群で63.7%の有効率があるとはどういうことなんでしょう?

プラシーボ群で63.7%の有効率のものが
鎮痛剤を使うと76.2%に上がるというのは、
どれほど意味のあることなんでしょうか。
B社のものに至っては、さらに疑問を感じてしまいます。

「プラシーボでも2/3くらいの人は痛みが治まる」という事実を
もっと大切に考えていかなくてはなりません。
「気のせい」で片付けることなかれ。
「気のせい」は素晴らしい力を持っているのですから。

別の漢方薬の研究では
ベテランの漢方医が証(処方を決めるための診断)を決めた後に
プラシーボを飲ませたところ
6割を超える有効率であったといいます。

また、「ノーシーボ」という言葉があって
「この薬は効かない」あるいは「この薬は有害である」と伝えて
偽薬を飲ませると「効果がない」あるいは「有害事象が起きる」
という研究結果もあります。

薬効成分の入っていない持続点滴をしながら
「今から薬を投与します」と言って投薬すると効果があるのに
何も言わずに投薬すると効果がない、という研究結果もあります。

医療が発達する以前は、
さまざまなおまじないの類を使って病気を治そうとしていました。
もちろん、それがすべてではありませんが、
私たちは元々、自分自身で治る仕組みを持っています。

それを最大限に引き出す工夫を忘れてはならないと思います。
現代医学の薬は、あくまでも、自分自身で治る仕組みを発動させるまでの
時間稼ぎのようなもの。

本当に必要な薬はすでに開発し尽されているともいわれています。
莫大なお金をかけて新しい薬を開発したところで
プラシーボとどんぐりの背比べのような効果しかないとしたら、
なんと無駄なことでしょうか。

病気にならない工夫
病気になっても自分で治す力

今後ますます必要になってくるでしょう。