先日、お腹に湿疹ができた、という50代の男性がいらっしゃいました。
「しっしん」「じんましん」「いぼ」「できもの」
皮膚科に来られるかたが言うこれらの名称は、
実際に皮膚を見るまで信用することができません。
湿疹といっていても、実は蕁麻疹のこともありますし、
その逆もしかり。
「できもの」というのも、ニキビの大きいものから
腫瘍まで、さまざまです。
「お腹に湿疹ができた」男性は、
1か月前くらいからあるが、かゆくも痛くもない、と言います。
最初は虫刺されかと思っていたけれど、その後、2個、4個、と
増えているとのことです。
湿疹も蕁麻疹も虫刺されも、かゆくないことはまずありません。
早速見せていただくと、おなかに、少し赤い小さなやや隆起したものが
ポツポツとまばらに見られます。
ニキビみたいにも見えますが、お腹にはあまりニキビはできません。
汗かきで肌は弱い、と言われるのですが、あせもであれば、
かゆみがあっても良さそうです。
お仕事、食事、排便のことなどお聞きしていくうち、
週に2回、スイミングに通っている、というお話が出ました。
ここで、なるほど！
と気づきました。これはきっと水イボです。
そう考えると、なぜ最初に分からなかったんだろう、という感じなのですが
実は、水イボは大人はあまり罹りません。
そうなると、なぜ50代の男性に水イボができたのか。
水イボとは、正式には伝染性軟属腫といって、
ウイルスによって感染する病気です。
健康な皮膚には感染しにくいのですが、
皮膚表面に細かい傷があると感染しやすいと言われます。
アトピー性皮膚炎のお子さんがスイミングスクールに通うと、
よく水イボが移ります。
この男性、皮膚は弱いと言われますが、
特に湿疹ができている感じではありません。
スイミングに通われているということで、感染しやすい環境にはあったにせよ
大人が罹ることは珍しい病気です。
それなのに罹ったということは、
免疫が落ちていると考えられます。
では、なぜ免疫が落ちているのか？
お仕事が忙しかったのか、睡眠不足なのか。
その辺りをお聞きしていくと、
睡眠時間はしっかりとっているけれど
最近、途中でトイレに起きることが多いのだそうです。
前立腺肥大があるのかと思い、検査を受けましたが、
問題なかったそうです。
就寝後、1時間半ほどで目が覚めてしまう、とのことなので
深い睡眠をしっかりとれていないことになります。
その後も何度も目が覚めるということですから 睡眠時間は長くても、疲れをしっかりとることができません。
つもりつもって、免疫が落ちてしまっていたと考えられます。
そもそも、水イボには良い治療がありません。
できているイボをピンセットでむしり取る、という原始的なことなのですが、
免疫賦活の意味で、ヨクイニンを摂っていただいたりもします。
水イボそのものを取っただけでは、問題の解決になりません。
免疫が落ちたのであれば、その免疫を落とした原因の
不眠を解決しなければなりません。そして、そのためには
その原因である頻尿を治さなければなりません。
これから、ヨクイニンを飲んでいただきつつ
頻尿を解決すべく漢方薬の調整を行っていきます。
