空気は鼻から入り、咽頭・喉頭・気管へと流れ、肺へ入ります。
咽頭には、扁桃と呼ばれるリンパ組織があります。
喉頭は硬い硝子軟骨と喉頭蓋からできています。
最も大きい硝子軟骨は、甲状軟骨という前方に突出した、いわゆる喉仏です。
喉頭蓋は、「気道の見張り番」として、飲食物が入ってきた時に
気道に空気以外のものが入り込まないように蓋をします。
これがうまく働かず、気道に空気以外のものが入ってしまったとき
咳をして外に追い出そうとするのが、「むせる」ということです。
咽頭から入ってきた空気は気管を下りて肺へ行きます。
この吸い込んだ空気にはホコリやカビ、細菌、
ウイルスなどの異物が含まれています。
それらが肺まで届かないように守るのが
気道の壁を覆う粘膜と線毛です。
気道に入った異物は粘液で捕らえられ、その下にある線毛が
1分間に0.5~1㎝の速さで外に向かって押し戻していきます。
戻された異物は痰として排出されるか、食道から胃に入り消化されます。
一般に扁桃腺と呼ばれるのは咽頭扁桃ですが、
咽頭扁桃が病的に肥大している場合、アデノイドと呼ばれます。
咽頭扁桃以外にも、耳管扁桃、口蓋扁桃、舌扁桃が
咽頭を取り囲むように存在し,ワルダイエルの咽頭輪と呼ばれ、
鼻や口から侵入する細菌に対処しています。
気道には、口は含まれません。
つまり、口呼吸というのは、本来の呼吸の姿ではないのです。
われわれ人間は、言葉をしゃべるようになったため、
口で呼吸することもできるようになった、というだけのことです。
ところが、現代人は口呼吸が増えていると言います。
そして、コロナ禍のマスク生活で、
その傾向がますます強くなっていると言われます。
空気が鼻を通る場合は、鼻の粘膜にある線毛と粘液で
ホコリや細菌などの異物が取り除かれ、
きれいな空気が先ほどのワイダイエルの咽頭輪を通過しますが、
口呼吸の場合は、異物だらけの空気が
ダイレクトにワイダイエルの咽頭輪を通過することになります。
すると、ワイダイエルの咽頭輪のリンパ組織は、
最大限に働いて異物を取り除こうとします。
つまり、扁桃腺が腫れて炎症を起こすことになるわけです。
扁桃腺が腫れるのも厄介ですが、
身体のある部分で慢性的に炎症が起きていると
さまざまな不調の原因になると言われています。
口呼吸を鼻呼吸に変えるだけで体調が良くなると言われるのは、
こういう理由によるのです。
マスクで口呼吸になってしまっている方、
しっかり鼻呼吸できるようにしましょう。
なぜ口呼吸はダメなのか
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