新型コロナ感染拡大により、常にマスクをする生活が続いていて、
その弊害も報告されるようになってきました。
そのひとつに、口呼吸になってしまう、ということがあります。
「口呼吸は良くない」ということを
どこかで耳にしたことがあるのではないでしょうか。
これまで、医学的に言われてきたことは、
口の奥は、扁桃腺をはじめとして
免疫に関わる組織が輪っかのようにぐるりと囲んでいるため、
口で呼吸すると、ホコリや細菌などが
直接これらの免疫組織を刺激して、
常に炎症を起こしている状態になってしまい、
そこからさまざまな病気につながる、というものでした。
私自身、口呼吸から鼻呼吸に直した経験があります。
そして、クリニックでも、口呼吸になっている人に
鼻で呼吸できるよう、「あいうべ体操」などをご紹介したりしてきました。
進化の観点から見ても、人間は鼻で呼吸するようにできています。
空気の通り道「気道」というのは、本来、
鼻から気管を通って肺に達するものをいいます。
口はあくまでも食べ物の通り道。
赤ちゃんは、おっぱいを飲みながら上手に鼻で呼吸するのですが
口呼吸はうまくできません。
人が口呼吸を習得してしまうのは、言葉を話すからなんですね。
さて、その口呼吸が最近になってますます問題になってきているそうです。
それは、マスク生活のせい。
マスクをしていると、どうしても息苦しい感じがするので
一度にたくさん空気が吸えそうな口呼吸になりがちなのですが
実は、鼻呼吸と口呼吸を比べてみると、
酸素の取り込み量は、口呼吸の方が半分くらいになってしまうのです。
それがなぜかというと、口呼吸になると、
呼吸が浅くなって、交感神経が優位になってしまうのだそうです。
そうすると、末梢の血管が収縮してしまって
ますます酸素欠乏状態になります。
こうして頭痛が増えたり、
肩こりがひどくなったりしている人が
増えているのだそうです。
マスクをして頭痛が増えるのは、
耳にゴムがかかって前に引っ張られるため
顔や首の筋などが緊張するせいだと思っていたのですが
それだけではなかったのですね。
口呼吸を鼻呼吸に直すには、先ほどのあいうべ体操などで
口の周りの筋肉を鍛えて口を開きにくくする訓練も必要ですが
呼吸を深くするために、横隔膜、肋間筋その他の呼吸筋の
動きを良くすることが大事です。
そのためには、普段から深呼吸や歌を歌うことが役に立ちます。
深呼吸というと、いきなりたくさん吸おうとする人が多いのですが、
まず、しっかり息を吐き切ることが大事です。
そうすることで自然に空気が入ってきます。
大きな声で歌を歌うと、その辺りが自然にできますし、
歌を歌いながら、身体をねじる運動をしたりすることで
背中側の方まで空気が入る感覚を味わうことができます。
コロナでなかなか運動はしづらいと思いますが、
狭い空間でも、歌いながら身体をほぐす、
それだけでも、快適に過ごせるようになると思いますよ。
マスク生活の弊害
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