ゴールデンウィークは終わりましたが、
みなさん、どこかに出かけられましたか?
新型コロナの拡大がある程度収まり、
久しぶりに遠出をされた方も多いのではないでしょうか。

旅をするということは、旅先の「気」と交流することを意味します。
水、食べ物、空気といった身体に取り込むものに含まれる
「気」はもちろん、その空間そのものの「気」と交流するということ。

東洋医学が生命の基本と考えているものは「気」。
「気」は、生命エネルギーの根源のようなものです。
この「気」は、身体の中にだけ存在するのではなく、
自然界からも取り込まれます。

自然と人間は一体なので、自然界の「気」も、
身体のなかの「気」と行き来すると考えます。

医学の祖と呼ばれる古代ギリシアのヒポクラテスは、
人間を取り巻く空気や水や気候が人間に大きな影響を与えると考え、
さらに、そうした環境の性質は場所によって異なり、
決して同じものはないと認識していました。

こうした、自然界と人間の関わりを大切にし、
環境の違いが与える影響に目を向ける古代医学の視点は、
医学だけではなく、現代社会全体の中から消えつつあるようです。

東洋医学には、ヒポクラテスの視点と似た特徴があります。
自然と人間が一体であると観る視点、つまり、
人も自然も同じ原理原則で成り立っているとする考え方です。

東洋医学からみれば、ヒポクラテスの言う環境の影響とは、
それぞれの土地が持っている異なる「気」との交流を指しています。

こうした自然界の「気」との交流を円滑に行うには、
比喩的に言えば、旅先の「気」と仲良くならなければなりません。
そのためには、ヒポクラテスが説いたように、
まずその地に足を踏み入れたならば、風を感じ、太陽を感じ、
自分の身体と空間とのつながりを意識してみること。

そして空気を味わい、飲食物を楽しみましょう。
水ひとつとっても、匂い、口当たりや性質がまるで違いますね。
もちろん、こうした効用は山や海への旅に限ったことではなく、
都会や近隣へ出かけるときにも同じこと。

普段の生活においても周りの「気」への意識を高めましょう。
きっといいことがあるはずです。