暑い夏がやってきました。
例年よりもさらに暑い夏のようですが
この季節は、足元が気になるもの。

最近はペディキュアやネイルアートも充実してきて
サンダルからのぞく素足に素敵な爪が並んでいるのを
目にすることも増えました。

私自身は、ペディキュアやネイルアートを使うことはないのですが
皮膚科医なので、足のトラブルのご相談をよく受けます。

夏の足のトラブルでご相談が多いものは、
足白癬や爪白癬。いわゆる水虫ですが、
実際に診てみると、違うものであることもしばしば。

水虫の診断は、真菌検査によって確定します。
つまり、皮膚や爪の一部を取って顕微鏡で
水虫の原因である白癬菌というカビを見つけるのです。

夏になると、湿気と温度が上がってカビが繁殖しやすくなり
水虫が悪化しやすいわけですが、
顕微鏡でもカビは見つかりやすいのです。

とはいっても、検査でカビが見つからないことがあります。
その場合は、次のような可能性が考えられます。

1.たまたまその部分に白癬菌がいなかった。
2.そもそも白癬(水虫)ではない。
3.抗真菌薬(水虫の薬)を塗っていた。

こういう場合は、様子を見ながら、後日再度検査をする必要があります。
診断に迷うような場合、抗真菌剤を塗ってしまうと、次に検査をしても
3.のようにカビが見つからなくなってしまいます。

2.の場合は、汗疱といって、小さな水疱ができてかゆみが出るものや
何かにかぶれている場合、なかには水虫の薬にかぶれている場合もあります。

いずれにしても、特に赤みやかゆみがある発疹で
真菌検査をしてもカビが見つからない場合は、
まずは湿疹として治療し、後日再度真菌検査をすることが大切です。

湿疹として治療すると、赤みやかゆみの炎症の症状は治まりますが
水虫の範囲はやや広がるかもしれません。
かゆみが治まったからと言って、そのままにしてはいけません。

きちんと真菌検査で確認して、カビが見つかれば
その治療に切り替えなくてはなりません。
そして、抗真菌剤を塗る治療も
根気強く続けなければなりません。

見た目がきれいになったからと、止めてしまう方も多いのですが
そうすると、翌年もまた再発してしまいます。

そして、薬を塗ることよりも大切なことは、
足を清潔に保ち、できるだけ乾燥した環境を作ること。
お風呂に入ったら、泡立てた石鹸を使って、こすらずに洗いましょう。

吸汗性・通気性がよい靴下を選び、
靴についても通気性の良いものを選べるとよいですね。

また、中高年の方で急に水虫がひどくなった場合、
糖尿病になっていないか、チェックしてみたほうが良いかもしれません。

本来、健康な皮膚であれば、
そう簡単にカビが棲みつくことはないはずなのですが、

湿疹などの小さな傷がある場合や、免疫が低下しているような場合には
バリアが壊れているので白癬菌が棲みつきやすくなるのです。

足の健康も、全身の健康と繋がっています。
この季節、ご自分の足をしっかりケアしてあげましょう。