今日はスキンケアの基本について まとめておきましょう。

アトピー性皮膚炎や敏感肌の方は、冬は乾燥で、春は花粉で、調子が悪くなりやすいですね。 花粉が落ち着いてほっとしたのも束の間、今度は紫外線や汗で荒れたりします。そんなお肌を健やかに保つには、正しいスキンケアが欠かせません。では、どんなスキンケアが良いのでしょうか。

大事なことは、

1. 汚れを落とす。

 2. 皮脂を落としすぎない。

 3. 保湿。

 4. バリアを作る。

皮膚に着いた汗やほこりは、きれいに洗い落す必要がありますが、皮脂を取りすぎないように気をつけなければなりません。そのためには、石けんよりも 弱酸性の洗浄剤が良いでしょう。石けんは弱アルカリ性で、 皮脂を取りすぎてしまうことがあるからです。

あらゆるスキンケア製品について 言えることですが、「オーガニック」「植物性」 という言葉に惑わされないようにしましょう。「オーガニック」「植物性」だからといって、アレルギーを起こさないわけではないですし、必ずしも刺激性が低いことを意味しません。

皮膚をきれいにした後は、保湿。 保湿のために、 様々な製品が売られていますが、これも、アトピー性皮膚炎や敏感肌の方にはかえって刺激になる可能性があります。

それよりも、お風呂上がり直後の まだ濡れているくらいの皮膚に、ワセリンを薄く塗って バリアを作りましょう。内側から水分が蒸発するのを防ぎ、外側からアレルゲンや刺激物質が 入り込むのを防ぎます。ワセリンを敬遠する方もいますが、ワセリンは余計なものが何も入っていないので、刺激になりにくいのです。

昔、ある病院の皮膚科外来に勤めていた時、入院中のおばあさんの唇の荒れがひどいということで紹介されてきました。主治医の先生から処方された、口内炎用のステロイド含有軟膏を塗っているけれど、いっこうに良くならないということでした。

そこで、その軟膏は止めてもらって、ワセリンだけ塗ってもらうことにしました。すると、今までなかなか治らなかった荒れが、きれいになってしまいました。

ワセリンの良いところは、とにかく余計なものが何も入っていない、というところです。 「有効成分」は入っていませんが、それゆえに刺激になるリスクもないということです。 ワセリンにも様々な精製度のものがありますが、精製度が高く、伸びの良い「プロペト」がお勧めです。

ただ、塗り方には少し注意が必要です。乾燥したり、荒れたりしている皮膚というのは、 一つ一つの細胞の端っこが「ちょっとめくれあがっている」 状態だと思ってください。そのような状態でワセリンを塗るとき、ワセリンを皮膚に伸ばすように横にすべらせると めくれかかった皮膚をさらにめくれあがらせる力が働きます。これが「痛い」と感じることは、容易に想像がつきますね。ワセリンは、手の平に薄く伸ばして、その手を皮膚の上に そっと置くようにしましょう。

手荒れがひどいかたもいらっしゃいますが、手にワセリンを塗ると、べたつきが気になりますね。夜は良くても、日中はいろんな作業がいづらいものです。一方、ハンドクリームだと、 手を洗ったときにすぐに取れてしまうことが多いもの。私がお勧めしているのは、「ロコベース」というハンドクリームです。ワセリンのようなベタつきはなく、水で洗っても落ちにくいのです。手が荒れやすい美容師さんの間でも人気だとか。

肌に塗るクリーム類で気をつけるべきことは、水分を多く含むものほど 刺激が強くなりやすいということ。ウォーター・イン・オイルと呼ばれる 油分の多いもののほうが無難です。 水分が多いと、腐敗しやすいので、防腐剤などの添加物も増えてしまいます。また、肌が荒れているときは、 肌に細かい傷がついているようなもの。そこに水分が多いものが触れると、「しみる」と感じやすいのです。水で落ちにくいとはいえ、手は様々なものに触れるので、すぐに取れてしまいがち。ハンドクリームもこまめに塗り直してください。

基本的な考え方として、皮膚に塗るもので「皮膚を改善させよう」としないほうがよいと思います。つまり、皮膚に塗るものに有効成分の効果を求めない方が良い、ということです。

皮膚を改善させるためには、内側から、栄養状態や血行を良くすることが大事になります。 外用はあくまでもバリアを作る目的であり、それによって、皮膚の再生を助けるのだと考えましょう。毎日のスキンケアを丁寧に行って、良いコンディションを保ちましょう。